【いじめ対談3】正論、情、脅し。弁護士と探偵が伝授、いじめの解決法

2015.12.04
by kousei_saho
 

弁護士が教える「交渉術」

まぐまぐ:このようにいじめの調査に関しては、阿部さんのような専門家にサポートなり教えていただかなきゃいけないと思うんですけど、その後の加害者側や学校との交渉においては、どういう準備をして、どういうふうに話を進めていけばいいのか……もし有効な手立てがあれば、谷原先生にちょっと教えていただきたいかなと。

谷原:交渉の場合には、誰かを動かして何かをしてもらうっていう話なんですね。だから、誰と交渉するかっていうのはまず考えないといけないんですよ。仮に、じゃあ担任の先生と交渉しましょう、担任がやればこれは解決できるんだとなった場合にも、担任と直接交渉するっていう話と、担任を動かすには、校長先生を動かした方が担任を動かしやすいという話だったら、校長のところにいくんですね。その校長先生を動かすためには教育委員会にいったほうがいい、ということであれば、教育委員会と交渉する。それで校長先生に降りて、担任に降りるっていう話になるので……。まずは、そこをどういう交渉戦略を立てて、誰と交渉しましょうかというところから、まず考えていかないといけないということ。

まぐまぐ:どこを突けば、解決に向けて話が動き出すか、ということですね。

谷原:また、交渉にも色々な方法があって、例えば「これはもう違法行為で、ちゃんとやってくれないと刑事問題にしますよ」という風に「正論」で行く方法。あと「いじめの被害に遭っているかわいそうなこの子、あなたはどう思いますか?」といった「」に訴える方法。それから「ちゃんと解決してくれないと、地域の人たちに真意を問いますよ」といった「脅す」方法。これらのうちで、どれが最も効果的かを考えたりという風に、まず全体の交渉戦略を練っておくのも重要ですね、交渉においては。

まぐまぐ:そういう交渉事に、あまり慣れてない場合はどうすればいいんでしょうか?

谷原:確かに、ガンガン言える人と言えない人がいますね。言える人は言いに行けばいいと思うんですが、言えない人は書類にして出せばいいんです、言いたいことを。

阿部:なるほど。

谷原:直接言いにくいということであれば、ご自宅で言いたいことを意見書や要望書という形にして、交渉の場に持って行って「詳しいことはこれに書いてありますけれども、かいつまんで言うとこれがこういうことです。ということで、よく読んでお返事をください」と言って帰ると。自分が得意なところ、不得意なところあったら、それを代替するような手段で交渉していくっていう。それも交渉テクニックですかね。

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まぐまぐ:書面にするっていうのは、なかなか思いつかないかもしれないですね。

阿部:僕も、営業をやってるお父さんにやってもらった時なんですが、「概要だけ箇条書きにして、これで上手くトークしてください」って言ったら、これが上手いんですよ、営業マンなんで(笑)。逆に、どちらかというと人と話すのが苦手な事務職のお父さんの場合は、僕と話す前の段階から黙ってても書類を作って来るんですよ。もう起承転結ができてるし、半分もう企画書みたいな感じになってる(笑)。よく見ると、いつまでに回答しろといった期限までついてるし、すごいわ……と。だから、こと交渉事ということになれば、まさに普段から社会で揉まれているお父さんの出番なのかなと。

谷原:親がいざ自分の子を守るために行動しようといったときに、「でも、俺こういうのは苦手だから……」っていうのはあると思うんですね。ただ、それで「行動に移せない」という風になるのではなくって、その時にはそれを補う方法を考えてやる。とにかく、行動を起こすことを決めるっていうのが大事じゃないかなと思いますね。なんらかの補う方法があるはずなので、今の例とか。

阿部:その方法について、詳しくは谷原先生の本を読めばわかる、と(笑)。

谷原:交渉事についてはですね(笑)。

阿部:僕も持ってますよ。色々チェックしてあるので、それを地方の現場に行く新幹線の中でもう一度見直すんですね。こういうふうにしたらこう答えようとか、自分の中である程度落としてから、学校と話をしたりするんですけど。やっぱり寝ちゃって読まなかったときと、しっかり読んでいってるときとは違いますよ。これは、もう。

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