新成人が関心のあるニュース第2位は「少子高齢化」…広がる負担感

2016.01.20
by Mocosuku
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総務省統計局の発表によると、平成27年1月~12月の1年間に新たに成人に達した人口(平成28年1月1日現在20歳の人口)は121万人で、前年と比べると5万人の減少となったそうです。

これは、政府がこの推計を開始した昭和43年以降で、新成人の人口がもっとも多くなった昭和45年の246万人と比べると半分以下の数字です。新成人の人口は、平成6年の2度目のピーク以降は減少傾向がつづいていますが、国立社会保障・人口問題研究所によると、こうした傾向は今後も続き、平成37年には新成人は110万人を下回ると予想されるとのことです。

出生率の減少傾向とリンク

当然といえば当然のことですが、このような新成人人口の減少傾向と、日本における出生率の減少傾向はリンクしています。

昭和50年に2.0を下回って以来、減少傾向がつづく国内の出生率は、厚生労働省の人口動態統計によると、平成26年の時点では1.42まで下降しています。政府はこうした事態を受け、出生率を1.8まで上昇させることを目指した「子育て支援策」の実施を掲げていますが、進む少子高齢化への不安な気持ちは、今年の新成人へのアンケートにもあらわれていました。

新成人と「超高齢社会」

株式会社マクロミルが、今年成人式をむかえる全国の新成人を対象におこなった「2016年 新成人に関する調査」では、日本の未来について「明るいと思う」と回答した新成人は33%と3年連続で減少する結果となり、これからの日本の政治についても77%が「期待できない」と回答していました。また、「関心のあるニュース」は何かという質問では1位が「テロ」(44%)、2位が「少子高齢化」(42%)という結果となっていました。

世界保健機構(WHO)や国連では、人口における65歳以上の高齢者が占める割合である「高齢化率」が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」と定義していますが、日本は平成19年の時点ですでに超高齢社会となっており、総務省の発表によると、平成27年には総人口における高齢者の割合は26.7%まで増加しているそうです。

同省では、超高齢社会がもたらす課題として、働き手の主力とされる15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」の減少や、社会保障費の拡大、介護負担の増大などをあげていますが、これらは新成人をはじめとする若年層に重くのしかかる課題ともいえるでしょう。

先日、安倍首相の国会答弁における「パートで25万」という発言が物議を醸しましたが、こうしたたとえ話でさえ批判される背景には、貧困や最低賃金の問題と、出生率や介護の問題はつながっています。

たとえば、誰もが安心して子育てをできる収入が得られることは出生率の増加に深く関わってきますし、介護業界における人手不足の問題には「低賃金・重労働」といわれる労働条件の過酷さが大きく関係しているのです。

世界でも類を見ないといわれる「超高齢社会」が加速する日本においては、最低賃金の引き上げや労働環境の改善などの対策によって、若年層へのこうした負担や重圧をいかに軽減するかということも、後回しにできない大きな課題といえるでしょう。

<参考>
2016年 新成人に関する調査<マクロミル調べ> PR TIMES

新成人人口は121万人 総務省統計局

出生率の増加を目指す子育て支援 !第2期政権で目指す家庭の「子育て支援」と「消費活性化」 出生率1.8は現実的? Mocosuku

超高齢社会の現状 総務省「平成25年版 情報白書」

 

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記事提供:Mocosuku

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