野菜炒めに発がん性物質がある?日常で気をつけること

2016.02.10
by Mocosuku
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内閣府・食品安全委員会は、高温で揚げたり炒めたりした野菜などに含まれる発がん性物質「アクリルアミド」の摂取と日本人の健康への影響について、「リスクは極めて低いが、動物実験の結果から、懸念がないとは言えない」との最終評価をまとめ、摂取に注意するよう促しました。

野菜を揚げたり炒めたりするのは日常茶飯事。

野菜炒めは食べない方がいいのでしょうか。

アクリルアミドとは?

アクリルアミドは、合成樹脂や染料などの原料として使用される工業的に生成されている物質です。

毒物及び劇物取締法上の劇物に指定され、神経毒性・肝毒性を有し、取扱いには注意が必要とされ、発がん性も認められています。

そんなアクリルアミドは、アスパラギンというアミノ酸とブドウ糖や果糖など一部の糖質が合わさって120℃以上で加熱されても生成されます。

ただし、その生成量は極微量です。

アクリルアミドの発がん性リスク

アクリルアミドの摂取量と人のがん発生率の疫学調査では2007年にオランダで「アクリルアミド摂取が発がんリスクを上げる」という結果が出されました。

一方で、「発がん性がある」という見解は、動物に大量投与する実験から導き出されたものであり、人における発がんリスクは上昇しないという調査結果も多く出ています。

食品安全委員会は、これらの疫学調査を詳細に検討しており、その結論が「動物実験の大量投与と同様に、人もアクリルアミドを大量摂取すると、おそらく発がんリスクが上がるだろう」ということ。

日常生活での摂取量での発がんリスクの上昇は確認されていません。

「発がん性がある」と聞くと食べない方がいいのでは、と避けられがちですが、日常生活で口にするものの中には、他にも肉や魚の直火調理で焦げ目に含まれるヘテロサイクリックアミン類、ひじきや米にも含まれる無機ヒ素など発がん物質があります。

これらは極微量であり、人への発がん性は極めて低いと言えます。

農薬や食品添加物などの化学物質は、規定の発がん性物質が確認されれば使用は認めらません。

しかし、食品中に含有される天然の発がん物質をゼロにすることはできません。

日常生活で気を付けることは?

アクリルアミドを多く含む食品は、ポテトチップス、黒糖かりんとう、ビスケット、フライドポテト、ほうじ茶、麦茶など。

日常生活での摂取量は微量であることと、食品安全委員会から提言されたことで、各メーカーが「アクリルアミド低減」に取り組み、その含有量はさらに減っているでしょう。

上記のような食品を偏って過剰に摂ること、また、アスパラギンも糖質も一般的に芋類や野菜に含まれるものであり、これらを摂らないことは、がんの発症だけではなく、肥満や生活習慣病へのリスクも高まることが予想され健康的ではありません。

○○は良い、●●は悪い、ではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、調理法も揚げ物、炒め物のような高温調理だけでなく、煮物、蒸し物、素材のままなど、様々な調理法を選ぶことが健康を維持する食事につながります。

執筆&監修:山本 ともよ(管理栄養士)

 

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記事提供:Mocosuku

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