ローンを組んでやっと手に入れたマイホームが、実は自殺騒ぎや殺人事件があったいわゆる「事故物件」だったら…。無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』では、事故物件と知らされずに買ったり借りたりしてしまった場合に、法的に訴えることはできるのか、そして勝つ見込みはあるのか、過去の判例を紹介しつつ現役弁護士が解説しています。
事故物件と知らずに買ったり借りたりしてしまったら?
1月30日から、小野不由美氏原作の映画「残穢」が公開されています。すでにご覧になれた方も多いのではないでしょうか。映画を見終わって家に帰るのが怖くなってしまった…、非常に怖い、と評価も上々のようです。
この「残穢」は、マンションで起こった自殺や心中、殺人などの事件が絡んでくるストーリーとなっています。もし、自分が購入したり借りたりした物件にそのような過去があったらどうすればよいでしょうか。
民法では、瑕疵担保責任という規定があります。瑕疵担保責任とは、売買の目的となっている物に、何らかの欠陥があって、それが取引上要求される通常の注意を払っても発見できないような場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます(民法570条)。
例えば、建物を購入したら、大黒柱の内側がシロアリに食い荒らされていたような場合で、それが外から見ても全くわからなかったような場合は、瑕疵担保責任が発生します。
瑕疵の種類には、「物理的瑕疵」と「心理的瑕疵」があるといわれています。シロアリによって柱が傷んでいた上の例の場合は「物理的瑕疵」に該当します。
「心理的瑕疵」とは、例えば、その物件で自殺や心中、殺人があったような場合、物件自体には問題がなくとも、そこに住んだりすることに強い心理的抵抗があり、住み心地の良さを欠くと感じるようなことをいいます。
瑕疵担保責任として、民法は契約の解除や損害賠償を定めています。もし、瑕疵物件であることの説明がされないまま、購入したり、借りたりした物件が事故物件である場合には、売主・貸主に対して、契約の解除や損害賠償を求めることができる場合があります。
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