甘利氏のTPP交渉は「本物」だったのか?公開された条約文でわかった恐怖

 

このさい、TPPの「変わらぬこと」について、しっかり書いておきたいと思う。第1章から30章にわたる協定文のなかで、しばしば登場するのが「内国民待遇」という、一般にはなじみのうすい言葉である。

たとえば「物品の貿易」について定めた第2章。

各締約国は、1994年のガット第3条の規定の例により、他の締約国の産品に対して内国民待遇を与える。

「投資」に関する第9章。

各締約国は、自国の領域内で行われる投資財産の設立、取得、拡張、経営、管理、運営及び売却その他の処分に関し、他の締約国の投資家に対し、同様の状況において自国の投資家に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。

いずれも、自国と同様に相手国の企業や人を扱う「内国民待遇」の規定だ。「サービス」「金融サービス」「政府調達」「知的財産の保護」に関する章にも、内国民待遇が明記された。要するに、あらゆる分野の経済活動において、日本政府は相手国の企業や人を自国民と差別してはならないということだ。

たとえば、安価な農産物が輸入されて困ることのないよう国内の農家だけに補助金を政府が支出すれば、TPP協定違反となる。公共事業についても、他の加盟国の企業が参加できるようにしなければならない。

TPPの謳い文句はこうだ。

「モノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業の規律、環境など、幅広い分野で21世紀型のルールを構築する」

自国産業保護のための関税、規制、非関税障壁を取っ払って国境をこえた自由な経済活動をしようというのだから、「内国民待遇」が協定全体に貫かれているのは理屈に合うわけだが、現実には大変なことであるに違いない。なぜなら、内国民待遇を受けとる国民性や国家の力関係の違いが、逆に不平等を生む可能性があるからだ。日本人なら、「まあまあ」と許せることでも、訴訟社会に慣れている米国民だと、些細な違反でも裁判の場に持ち込もうとするかもしれない。

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