超エリートだけどまるで中2。トランプ候補の“神レベル”話術とは

 

今回は、トランプが「KKK(ク・クルックス・クラン=暴力的な白人至上主義者の団体、非合法)」の元指導者から支持を受けているという問題が、スキャンダルとして取り上げられています。

トランプは、CNNのジャック・タッパーのインタビューで、そのことを問われて「そんなの知らない」と突っぱねていました。つまり「KKK」とか、その指導者のことを「知らない」と言って、支持を受けたことなどを「否定」あるいは「拒絶」するのを避けたのです。

さすがに、これは問題となって週明けには「そうした支持に関しては拒絶する」ということを表明し、同時に「CNNのインタビュー時には、イヤホンが不調でタッパーの言うことがよく聞こえなかった」といういい加減な弁明をしています。

このやり取りですが、批判者からは「トランプも血迷ったのか」的なバッシングが出ているのですが、もしかしたらトランプは計算してやっているのかもしれません。というのは、南部の白人の中には「大きな声では言えないが、黒人が大統領になって偉そうにしているというのは、北軍が南部に入って乱暴狼藉をした南北戦争後の状況に似ている」とか「それに対して黒人へのリンチなどをやったKKKについては、屈折した見方しかできない、とてもキレイに全否定などできない」という心理を持っているのかもしれないのです。

これも一種の「マイナスの心情」ですが、そこを「自分はそうした感情を否定しないよという隠されたメッセージとして出しているのかもしれません。

 

 

冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋

著者/冷泉彰彦
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは毎月第1~第4火曜日配信。
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