どん底の中国経済、それでもバブルが崩壊しないのはなぜ?

 

人民銀行の買い支えと構造改革

中央銀行は資金をゾンビ企業に貸出して、企業倒産を防いでいる。金融緩和的な政策であるが、一方で米国など海外からの投資が流出していて、資金流出が止まらない。そのままにすると人民元の暴落になり、IMFのSDRになった人民元の立場がない。このため、人民元の買い支えを行っている。この行為は、人民元買いドル売りの為替介入であり、人民元を市場から買い戻すということで、金融引締的な政策である。

もう1つ、この買い支えができるのは、外貨準備高がある間しかできない。中国の外貨準備高は世界最大であるので、当分はできるがいつかはできなくなる。また1月で1,000億ドル程度減少しているので、その減少スピードも早い。このため、人民元買い支えはできなくなるので、資本流出を止めるには資本規制をするしかない。通貨の自由な流通を止めることである。

もう1つが、買い支えができるまでに、構造改革ができるかどうかである。そして、経済成長を輸出から国民消費に変える必要がある。しかし、先端産業の雇用は少なく、このため、大量の雇用が無くなり、国民不満が出てくると、独裁国家が陥る海外での侵略で愛国心を煽り、国内は締め付けることで、政権維持を図ることになる。すでに、ロシアがやっていることである。これを中国が行うと日本も、その影響を受けることになる。

海外進出の軋轢で

この海外進出を行うと世界との軋轢を招くことになる。すでに南シナ海や東シナ海で問題を起こしている。この軋轢が高じると、欧米日などが経済制裁を行うことになると見る。これも既にロシアに行っている。

軋轢が起こると、直ぐに軍事衝突を言う軍事専門家は言うが、それはあまりない。まずは経済制裁などの開始になるはずである。

しかし、この経済制裁は中国が進めようとする構造改革とは逆な方向であり、経済崩壊になる可能性が出てくる。最先端分野は中国に代替できる国がある。AV、スマホ、ドローンなどは中国以外にも製造できるからである。

このように、中国のジレンマは、経済崩壊を防ぐことと、政権維持に必要なことでのトレード・オフが存在するのである。このバランスを取って進めることが必要になっている。

しかし、政府機関と軍部は相互に干渉できない位置づけになっている。両方のバランスを取るには、権力の集中が必要になる。集中して政策実施が必要である。政権維持のためにも必要になっている。このため、習近平総書記に権力を集中させる必要が中国はあるのだ。中国は危機になると権力を集中させる必要があるのだ。権力を集中させると、軍部の一方的な行動は制御されるし、政府の民主化政策も制御されることになる。両者をバランスさせることになる。

難しい局面に中国経済は来ていることは間違いないし、発行資金量が拡大していることも事実であり、もし、資金量がある限界を超えると人民元が暴落して国内にインフレが起こり、経済成長がマイナスになる可能性も否定できない。

さあ、どうなりますか?

 

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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