戦ったおじいさんに感謝することはできる
さて、わが国の状況をみてみましょう。
第2次大戦時の日本の指導者たちは、スターリンやヒトラーとは比較にならないほどマシです。
日本の指導者たちは、ヒトラーのように、特定の民族を「絶滅させよう」などと考えたことはありませんでした。スターリンや毛沢東のように、自国民を大虐殺したこともありません。
「独裁だった」と言いますが、日本の戦前、戦中の総理大臣は、安倍さんが首相になる前の日本ぐらいコロコロ変わっていたのです。ためしに1930年から戦争が終わった1945年までの総理を挙げると?
1、濱口雄幸
2、若槻禮次郎
3、犬養毅
4、齊藤実
5、岡田啓介
6、廣田弘毅
7、林銑十郎
8、近衛文麿
9、平沼騏一郎
10、阿部信行
11、米内光政
12、近衛文麿
13、東条英機
14、小磯国昭
15、鈴木貫太郎
なんと、首相一人の在任期間は約1年です。こんなのをみても、ドイツのヒトラーやソ連のスターリンとは比較になりませんね。
とはいえ、当時の指導者たちに「敗戦責任がなかった」とはいえません。
会社が倒産すれば、もちろん「社長さんの責任」となるでしょう。福島原発で事故が起きれば、もちろん「東電幹部の責任」が問われます。
しかし、一方で、「東電の一般社員に責任があるのか?」ときかれれば、「そうともいえない」となるでしょう。特に、いまも事故処理のために戦っておられる皆さんには、いくら感謝しても足りません。
しかし、日本はどういうわけか、指導者から徴兵されて戦地にいった普通の人まで「悪だった」ということになっています。
これはおかしいですね。
私の祖父は、満州で亡くなりましたが、私は祖父を尊敬しています。
30歳で未亡人になった祖母は、一人で4人の子供を育てあげました。私は祖母も尊敬しています。
私の父は、9歳の時に父(私の祖父)を亡くしたので、子供の頃か
ら仕事をしてお金を稼ぎました。私は、父を尊敬しています。
私の母は、戦争がはじまったとき、父親(私の母方の祖父)の仕事の関係でフィリピンにいました。しかし、アメリカ軍に攻められ、命からがら日本に脱出してきました。逃走中、幼かった弟と妹は亡くなくなっています。私は、母を尊敬しています。
こういうのは、どこにでもあった話です。たくさんの犠牲の上に、今の日本の繁栄はあります。
私たちは敗戦国の人間です。
しかし、「自分の国と家族のために戦った」尊さは、戦勝国の人も敗戦国の人も変わりません。
目をつぶって、ひと言いってみましょう。
「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう」と。
(私の祖父・祖母は亡くなりましたが、生きておられる方には直接感謝の言葉を伝えましょう。身内なので照れくさいとは思いますが。)
そして、「おじいちゃん、おばあちゃんが残してくれた日本を、僕たちが守れるよう導いてください」と。
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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