では、この裁判はどうなったか?仮眠時間は労働時間なのか?
裁判の結果、会社が負けました。仮眠時間は労働時間であるとしてその分の給与を支払うように命じられたのです。「え? 寝ている時間にも給与を払わないといけないの?」と感じられた人もいるかも知れません。
この場合のポイントは「仮眠時間を自由に使うことができるか」です。この会社では仮眠時間について次のような決まりがありました。
- 警報が鳴った場合はすぐに対応すること
- 飲酒は禁止
- 基本的にはビルからの外出も禁止
以上の決まりから「自由な時間ではない=労働時間」と認められたのです。もし、完全に自由に使うことができるのであればおそらく労働時間とは認められなかったでしょう。
これは実務的には「休憩時間」にも同じことが言えます。例えば、「休憩時間60分」と決めていても、その時間帯に電話があったら必ずとるようにとか、来客があったら対応をするようにとかそのような決まりがあれば、その時間も労働時間として考えられてしまうということです(結果として電話も来客もなかったとしてもです)。
「走った分だけ払う」は大丈夫でも「働いた分だけ払う」は認められないということですね。
image by: Shutterstock
『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
<<登録はこちら>>
ページ: 1 2