裁判の結果、会社が負けました。その解雇は「無効」とされたのです。なぜか?
それは、「会社に具体的に損害を与えたとは認められない」からです。確かに、不倫は社会的には認められない行為です(これは、この裁判でも認められています)。ただ、その不倫によって会社の運営に具体的に支障を与えたとか売上が減ったとか、そのような事実はありませんでした。これが裁判で無効とされた理由です。これは、別のバス会社の裁判でも「会社の運営とは関係のない私生活上のことである」として懲戒事由に該当しないとされました。
ただ逆に、不倫が懲戒事由としてすべて認められないかというとそうではありません。ある飛行機会社での機長と主婦の不倫や、ある学校での教師と元教え子の不倫は懲戒事由として認められています。
では、もし自分の会社で社員が不倫をしていたらどうしたら良いか? その場合は、いきなりの重い懲戒処分(解雇等)は避けておいたほうが良いでしょう。本人と面談をして注意、指導をしていくほうが無難です。ただし、その行為が他の社員の業務を妨害したり風評により売上などに直接影響を受けるなどであれば懲戒処分の対象にもなり得るでしょう。
恋愛が個人の自由とは言え、「業務に支障を与えない」ことが優先されることは言うまでもありません。社員にその意識を持ってもらうように日頃から指導、教育を徹底するようにしましょう。
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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