日本が核兵器を持たずして、核保有国と同レベルの抑止力を持つ方法

 

ニュークリア・シェアリングの前にやるべきこと

この本を出したのは、2013年11月です。いい仕組みだと思いますが、ひとつ考慮しておくべき事実があります。

世界3大戦略家のルトワックさんや、リアリストの大家ミアシャイマーさんは、大昔から「中国がアメリカ最大の脅威になる」と断言していました。そして、アメリカが中国に勝つための重要ポイントは、「中国とロシアを分断し日米側にひきいれよ」ということ。オバマさんは、「AIIB事件」後、ようやくロシアとの和解に動きはじめました。

この「ニュークリア・シェアリング」ですが、中国が猛反発するのはもちろん、現時点ではロシアも「大いなる脅威」と認識する可能性が高いです。そうなると、中国とロシアは反米反日でますます一体化してしまう。

日本がニュークリアシェアリングを目指すなら、その前にロシアがもはや日本を警戒しないレベルまで和解する必要がある。これ、いかにも「ロシア在住者」「ロシア寄り」の発言っぽいですね。その疑念はわかりますが、「対中国でロシアが最重要」と主張しているのは、ルトワックさんやミアシャイマーさんです。証拠として、ルトワックさんの超名著『自滅する中国』から引用します。

日本が引き続き独立を保っていられるかどうかは、反中同盟全体の強さに大きく左右されることになるからだ。
(同上p187~p188)

衝撃的ですね。反中同盟が形成されない、あるいは脆弱な場合、「日本は独立を保てない」、つまり、「中国に実質併合される可能性もある」といっているのです。では、どうすれば、日本は勝てるのか?

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。
(同p188)

というわけで、今回は、「米中を同時に敵にまわさず、事実上の核保有国になる方法」についてでした。今は、1930年代同様、大国間の関係がコロコロ変わっています。日本も大局を見ながら、「孤立しないよう慎重に行動する必要があります。

image by: Shutterstock

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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