現実味を帯びてきた、日本が米中「代理戦争」に利用される日

 

アメリカに利用された国1~グルジア

最近の例を2つ挙げておきましょう。皆さん、もう忘れていると思いますが、08年8月、ロシアとグルジア(ジョージア)の戦争がありました。これ、プロパガンダで、「ロシアが小国グルジアを攻めた!」と思っているでしょう? 実を言うと、グルジアがロシア軍を先に攻撃したのです。証拠をお見せしましょう。熟読してください。

グルジアの南オセチヤ進攻に対抗、ロシアも戦車部隊投入

 

【モスクワ=瀬口利一】タス通信などによると、グルジア軍が7日夜から8日にかけて、同国からの分離独立を求める南オセチヤ自治州の州都ツヒンバリに進攻し、同自治州で平和維持活動を行うロシア軍司令部や兵舎などを空爆、戦車による砲撃も行った。

 

ロイター通信などによると、これに対抗して、ロシア軍がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を報復空爆し、戦車部隊など地上軍もツヒンバリに向かっている。
(読売新聞2008年8月8日)

グルジア軍が、ロシア軍を攻撃した。それで、「これに対抗して」ロシアが「報復」したと、はっきり書いてあります。なぜ小国グルジアは、核大国ロシア軍を攻撃したのでしょうか?

当時、グルジアの大統領は親米のサアカシビリさんでした。03年の「バラ革命」で政権についた人で、「アメリカの傀儡だった」といわれています。つまり、「アメリカにそそのかされて」あるいは、「アメリカに命令されて」「ロシア軍を攻撃したのではないか?」と常識的に想像できます。でなければ、「なぜ無謀な戦いを挑んだのか?」説明できません。

いずれにしても、この戦争でグルジアは、「南オセチア」と「アプハジア」を失いました。この2つの自治体は、事実上「独立」してしまった。まったくグルジアにとって、「破滅的な戦争」でした。

アメリカに利用された国2~ウクライナ

もうひとつの例は、ウクライナです。皆さんご存知のように、2014年2月、ウクライナではクーデターが起こりました。親ロシアのヤヌコビッチ大統領はロシアに亡命し、親欧米新政権が誕生したのです。この新政権は、クリミアからロシア黒海艦隊を追い出し、かわりにロシアの宿敵NATO軍を入れると宣言していた。

プーチンは、2014年3月、「クリミア併合」を断行。つづいて、ロシア系住民が比較的多いウクライナ東部ドネツク州、ルガンスク州は、「独立宣言」した。

親欧米ウクライナ新政府は、軍隊を東部に送り、内戦が勃発しました。結局、親欧米新政府軍vs東部親ロシア派の「米ロ代理戦争」と化してしまった。ルガンスク、ドネツクは現在、「事実上の独立状態」にあります。そしてウクライナ国は、「国家破産状態」にある。大国に利用された小国の運命は悲惨です。

日本が気をつけるべきこと

というわけで、「バックパッシング」は「日常茶飯事」で行われています。ですから日本は、「めちゃくちゃ用心深く進む」必要があります。具体的に、どんなことに気をつけるべきなのでしょうか?

まず、私たちが目指すのは、「アメリカを中心とする対中バランシング同盟を結成強化すること」。この目標を忘れて、「日本を中心とする対中バランシング同盟」を結成しようとすれば、日中戦争になり、アメリカは、「梯子をはずす」かもしれません。

そして、注意点がいくつかあります。

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