安倍総理の訪ロは成功だったのか?プーチンが日本に突きつけた見返り

 

日ロ関係の本質は、「対中国」

とはいえ、日本側の「対ロ認識」は「まだまだ」と言わざるを得ません。「北方領土を返してもらうために経済協力する」というのが、少し進化した日本政府の態度です。しかし、「対ロシア外交」の本質は、「対中国」にあります。

毎回同じ話で申し訳ありませんが。2012年11月、中国はモスクワで、尖閣・沖縄を奪うべく「反日統一共同戦線」戦略を、宣言しました。絶対証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

この戦略の骨子は3つ。

  1. 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくろう!
  2. 3国共同で、日本の「領土要求」を退けよう! 北方領土は、ロシア領。 竹島は、韓国領。そして、日本には、尖閣ばかりか、「沖縄」の領有権もない!
  3. 「アメリカ」も「反日統一共同戦線」にいれよう!!!

中国は、着実に日本包囲網を築き、大きな成果をあげています。中国がこういう戦略なのですから、日本はこれを「無力化」しなければならない。

つまり、

  1. ますますアメリカとの関係を強固にするべし
  2. 韓国との関係を改善すべし
  3. ロシアとの関係を改善すべし

これが「反日統一共同戦線戦略を打破する基本です。つまり、日本がロシアとの関係を改善することは、「中国に勝つため」なのです。別の言葉で、「中国に戦争する気を起こさせないため」、あるいは、「尖閣と沖縄を守るため」とも言えます。

ちなみに「リアリスト」のカリスマ・ミアシャイマーさんや世界三大戦略家のルトワックさんも、「ロシアがカギだと断言しています。

ルトワックさんは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べています。

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。

ちなみに、ルトワックさんの『自滅する中国』は、日本の指針を知りたい方必読です。是非この機会にご一読ください。

というわけで、日ロ関係、ギリギリのところで、なんとか悪化が止まったようです。しかし、まだまだ油断できません。日本政府は、ロシアの「戦略的意義」を十分に理解され、ますます関係を改善していただきたいと思います。

image by: 首相官邸

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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