ヤマダ電機が黒字3倍、劣勢の家電量販店でなぜ勝ち組になれたのか?

ヤマダ電機が黒字3倍、劣勢の家電量販店でなぜ勝ち組になれたのか?
 

コスト削減だけでいいのか?

では、利益を改善するためにやたらコストを削減すればいいのか? というと、もちろんそうではない。売上が上がらない店舗を閉めるだけでは、当然ながら先細りになっていくばかりだ。

ヤマダ電機は、ここのところ「スマートハウス」という、省エネ住宅に力を入れている。リフォームに関するショールームを併設する店舗を、2016年には、昨年の3倍の60店舗までに増やすという(日本経済新聞より)。

私の自宅近くの店舗にも、大きなスペースをとって展開しているのだが、ここで、お客様のリフォームの悩みを聞き取り、毎月の光熱費を押さえるにはどうしたらよいか、という相談に乗ったりすることができる。

今、伸びているリフォーム市場に「自社の強み」である、家電販売を絡めた、新しいビジネスモデル、ができるのだ。たとえば、HISと組んでの電力小売り「ヤマダのでんき」も、ショールームで説明、販売できるだろうし、この場所で、スマート家電も販売していくことができるのだ。

ヤマダ電機の特徴は郊外の大型店。都心の駅前にある店舗に比べると、高齢者や家族連れが多いので、リフォーム需要を取り込むには最適。さらに、ネット通販にはできない、「対面での相談・商談」ができること。そしてなにより、家電品という「モノ」を売るのではなく、スマートハウスによるワクワクする生活というコトを売ることができる。

自社の強みを活かした「顧客価値」が提供できれば、値引き合戦という「消耗戦から脱却できる。

ヤマダ電機がすべきこと

ここで重要なことは、従業員の方のお客様への対応。これから売るのは「お客様の生活」という、目に見えないものになる。今までは、家電品という目に見えるものを販売してきたノウハウとは、全く異なるお客様ニーズを引き出さねばならない。

ヤマダ電機に限らず、大型量販店に行くと、店員が店内に見あたらず、万が一いたとしてもメーカーの方ばかり。何を買おうかと迷っていたり、質問をしたい時に、店員さんを探すのがひと苦労なのだ。

スマートハウスを買いに来る人は、家電品を買う人と違い、何を買いたいかが、自分ではわかっていない。そんな時に「聞かれたことだけをこたえる」という姿勢でいたとしたら、私ならその場で帰ってしまうだろう。

本来、リフォーム需要にこたえ、スマートハウスを売るときに、お客様にコミュニケーションしなければならないのは、「お客様が今は知らないけれど、教えてくれたらうれしいこと」いわば、潜在的なニーズなのだ。

この、心の底にあるニーズを引出していく、「聞き取り力こそがこれから求められる力である。

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