英国のプライドが世界を狂わす。EUというドイツ第4帝国からの独立

 

EUはどうなる?

では、イギリスに離縁状を突きつけられたEUはどうなるのでしょうか? こちらも、明るい未来は見えてこないです。

まず、離脱したイギリスは、GDP世界5位。EUでは、ドイツに次ぐ経済大国です。EU第2の経済大国が離脱する。それだけでも、EUには巨大な打撃ですね。しかし、最大の問題は、イギリスの「離脱成功」が他のEU加盟国の「離脱派を勢い付けてしまうことでしょう。

EU諸国には、広く「離脱派」が存在しています。たとえば、フランス、デンマーク、オランダ、スペインなどなど。そして、シリアなどからの難民を大量に受け入れつづけるドイツ・メルケル首相への反発から、離脱派は支持を広げている(ナショナリズムの巻き返し)。

たとえば、イギリス同様の国民投票実施を主張する、フランス国民戦線党首のマリーヌ・ルペンさんは、2012年の大統領選挙で3位につけた。極右とよばれるルペンさんの人気は、「ISSUINGテロ」「難民の大量流入」などで、ますます上昇しています。そして、今回の「イギリスのEU離脱」で、彼女の主張があながち「極右だけの危険思想でないことが証明された。もし、ルペンさんが来年の選挙で勝って大統領になり、国民投票を実施。フランス国民が「EU離脱」を選択したらどうなるでしょう?おそらく、EUは存続し続けることが難しくなるでしょう。

将来、「2016年6月23日のイギリス国民投票は、『EU崩壊』の引き金になった」と歴史の教科書に記されるかもしれないですね。

日本と世界はどうなる?

日本はどうなるのでしょうか? 英ポンドが下がり、ユーロが下がるのですから、当然「円高」になります(なっています)。そして、株が安くなっている

アベノミクスは、建前はどうあれ「異次元緩和による円安誘導」が重要な柱。これが挫折するのですから、日本経済も厳しくなるでしょう。そして、世界経済は繋がっているので、イギリス、EU経済の悪化が世界に波及していきます。

中国経済の急減速とEU。これから世界経済は、かなり厳しいことになりそうです。

image by: Hadrian / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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