日本企業は個人でビジネスする海外在住の日本人を絶対に信用しない

 

そんな折、ロサンゼルス総領事館に勤務していた妻が「ロサンゼルスのジェトロで米国地上波テレビのデジタル化(早い話が米国の地デジ)のセミナーがあるから出てみたら」と言うので、早速申し込んで出かけました。 セミナー自体は英語で、そのころの私には超ハードルが高かったのですが、まあWOWOWでBS放送デジタル化を実務で経験してきたおかげで、以外に内容は良くわかり面白かったのを記憶しています。 英語のセミナーがある程度理解できたことが嬉しかったのです。

ところが、このセミナーで私のその後を決める決定的な出会いがありました。 セミナー終了後、ソフトドリンクに乾き物という質素なネットワーキングタイムがあり、名刺交換をしたりしていたのですが、そこでジェトロ・ロサンゼルスセンターの横田次長(当時)にもご挨拶しました。 横田さんから「海部さんは、何をしておられるのですか?」と聞かれました。

実はそのころ、それを聞かれるのが一番辛かったんです。 業界以外の方に「WOWOWを休職して、参りました。 アニメ関連の仕事の経験を生かして、米国でアニメチャンネルを立ち上げられないかと調査をしているところです」と言うと、最初は興味を持って「どちらかの会社か投資家がついているのですか?」と聞かれます。 そこで「今は個人でやっていて、プランができたら日本の関連会社に提案をするつもりです」というと、途端に目付きが変わるんだなあ。 イカサマ師かタカリをみるような警戒感で、すーと引いていくのがわかる。

「そりゃあそうだよ」とも思いますが、それだけに聞かれるのがイヤでした。でもね、これがまた必ず聞かれるんです。 私の説明を聞いた横田さんは「海部さん。 日本の会社は外国で個人でビジネスしている日本人を信用しませんよ 」ときっぱり(苦笑)。

でも、この横田さんとの出会いが、私の10年を方向付けるきっかけとなるのです。 それは2ヵ月ほど経ったある日、横田さんから電話がきました。 「海部さん。 ジェトロ東京本部で米国のアニメ市場調査をやろうという話があるのですが、リサーチャーやってみませんか?

もちろん、即答!「興味あります、やりたいです。 よろしくお願いします 」予算できるし、何よりもこれまでなかなかきっかけの掴めなかった米国テレビ局だってアポイントメントが取れます。 有頂天になりました。

ところが、直後に問題が発生します。 ひとつは私の米国ビザが就労を認めていないこと、二番目はジェトロは個人とは契約できないという制約でした。 やっと来た仕事の話だったのに、早くも暗雲が漂いはじめました。

続きは次号で!

image by:  Shutterstock.com

 

ロサンゼルスで起業してしまったボクの本気メルマガ!』より一部抜粋

著者/海部正樹(米国法人WOWMAX MEDIA LLC代表 / プロデューサー)
政治家の二世なのですが、テレビディレクターやアニメプロデューサーになりました。親は嘆いたでしょう。しかも42歳で渡米、その後ロスで起業と来た日には、人生どう転がるかわかったものではありません。そんな私が異国で今日も体験している「海外の起業」と「海外での継業」を中心にいろいろ書かせて頂きます。それと「米国ローカルの時事ネタ」や「10年暮らしてわかる生活ネタ」もご紹介します。
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