ヒラリー、トランプどちらが当選してもNo?TPPは結局どうなるのか

 

今後を左右するアメリカの動向

TPP協定は2月に各国が署名したが、今後12ヵ国それぞれの国で署名から2年以内に議会の承認などを経て批准する必要がある。問題は日本とアメリカで批准できなければ達成は厳しい。なぜなら12ヵ国のGDP85%以上を占める6か国が手続きを終え、その時点から60日後に協定が発効する仕組みになっている。GDP比率は日本のが17.7%、アメリカが60.4%と2国だけで加盟国の全体の78%を占めている。そういう意味ではアメリカの動向が非常に気になるところであり、影響も大きい。

アメリカは「自国に有利に働かないということで嫌気がさした」といっても、いまさら随分無責任な話だ。先にも述べたが、元々ペルーなどがやっていたところに、太平洋貿易の主導権を取るべくアメリカが乗り込んでいった。ここにきてこの状況とは、アメリカが自由貿易を推進する旗頭として果たして適任なのかどうかということも思われてしまうのではないか。

貿易摩擦を乗越え競争力が増した日本

TPPに関して日本にも反対論はあったが、推進していった。私は基本的にはTPPを実施したほうがよいと思っている。もちろんさまざまな問題があるのかもしれないが、日本はこういった貿易摩擦が起こる度に技術革新などで乗り越え、その結果日本の競争力は強くなってきた

例えば自動車摩擦、アメリカの環境規制は厳しかった。しかしながら、この規制を乗越えないと輸出できないということで、切磋琢磨し環境規制の技術を磨いてきた。そして、結果的に日本の自動車産業を強くしてきた

さらに、農産物でいうとアメリカ産のオレンジ・牛肉摩擦では日本の農家がみかん、牛では神戸牛、松坂牛のみならず米沢牛といったブランド、黒毛和牛といった新種を作り出してきた。鶏肉などでも次々とブランドを確立していった。これによって、日本の農産物のブランド化が進み、世界で一番おいしく、安全ということが世界に広く浸透していった。このような技術の進歩によって、品質が評価されたのである。

保守主義への転換!?

今回も日本の農家にとっては厳しい側面があるかもしれないが、日本の農家はそれを乗越えるだけの技術力や意欲もある。それによって日本の農業や製造業を強くしてきた。よって日本はTPPを進めるという方向で頑張ったほうがよいと思う。

このようにアメリカが消極的になるのは、自国優先主義に舵を切ろうとしているのではないか。アメリカがこれをやり出すと、アメリカは「本当に自由貿易の国なのか」と言われ、「保護主義ではないか」とも言われかねない。これまでアメリカは自由貿易の旗頭だったが、これではだめになるのではないかと評判も落ちる上に、その結果経済成長も妨げることになるように思う。

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