百貨店は、もはや「過去の遺物」。激化するアパレル生き残り戦争の現状

 

SCモール専門店はどうなる

SCモール運営者は、家賃収入で儲かっているが、出店しているテナントは儲かっていない。

当然だが、人気のないSCモールでは空きが出ている。今後は、SC間競争が目立ってくるだろう。同時に、SCアイデンティティが求められ、SC毎の独自のテナントミックスが求められるだろう。それができなければ、SCモールの単位で淘汰が進むと思われる。

あるいは、ヤング偏重のSCモールの中で、どこが本格的なシニア向けモールを展開するかも注目である。既に、アウトドア専門店集積のモールが出現しているが、ここがシニア層を獲得していけば、一気に全国に広がるかもしれない。

SCモールの専門店は基本的にヤングを対象としており、トレンドを意識し、リーズナブルな価格ゾーンで構成するなど、同質化している。

これは、多くのアパレルが企画会社から提示されるサンプルに依存しているためである。同じようなサンプルが、複数のアパレルに提示され、アパレルはその中から商品を選び、量産しているのである。

実は、これはネットモールに出店しているアパレルも同様である。このゾーンは、益々、同質化と価格競争が進むだろう。

同質化が一定以上進むと、個性的なショップが出現する。これまでも繰り返されてきたサイクルである。

特に、ネットでは、手作り商品やアクセサリーなど、個人でもビジネスに参加できる環境が整っている。こうしたネット上の起業家が育ち、やがてはオフラインのビジネスで成長してくるかもしれない。

アパレルは、インターネットにより、競合が厳しくなるが、逆に、インターネットから新しい勢力も生まれてくるのではないか。

image by: Sorbis / Shutterstock.com

 

j-fashion journal』より一部抜粋

著者/坂口昌章(シナジープランニング代表)
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