賃金が下がればデフレになるのは当たり前
そして、この十数年、先進国の中では、日本だけがデフレで苦しんできました。これを見れば、「日本は低賃金によりデフレになった」というのは明白なはずです。実際、理屈から行っても、賃金が下がればデフレになるのです。
バブル崩壊後、トヨタをはじめとする日本の大企業というのは、「経済成長」「国際競争力」という旗印のもとで、企業業績ばかりが優先されてきました。
しかし、それは一時的な経済成長はもたらしますが、日本経済にとってしっかりとした地力をつけることには結びつかなかったのです。それは、よく考えれば当然の話です。
経済というのは、企業ばかりを優先していれば、やがて行き詰ります。当たり前のことですが、経済というのは企業の力だけがいくら強くても成り立ちません。企業の作ったもの(サービス)を買ってくれる「豊かな市場」があって、はじめて企業は存在できるのです。
企業が人件費を切り詰めれば、一時的に収益が上がります。だから、それで経済成長したように見えます。しかし、企業が人件費を切り詰めれば、国民の収入は下がり、購買力も低下します。企業は物が売れないから価格は下げざるを得ません。そのため、経済が縮小し、デフレになるわけです。
こういうことは、小学生でもわかる理屈ですし、データ的に見ても、その通りになっているわけです(多くの著名な経済学者の方々はこの簡単な理屈、明白な現実が見えていないようですが)。