中国の国有企業が「ゾンビ化」。民間投資の激減で終わりの始まりへ

 

問題は、民間企業がどうして投資しなくなったのかである。これに対し、著名な経済評論家の余豊慧氏は「ゾンビ死に体企業」の存在を理由の一つに挙げている。

余氏によれば、今、大型国有企業の多くがゾンビ化」している中で、政府は雇用維持の視点からどうしてもゾンビ企業の延命をはかりたい。そのために国有銀行に命じてゾンビ企業に莫大な融資を行い、無駄な「輸血」を続けているという。

しかし、その分、民間企業に回ってくる銀行融資が極端に少なくなって、民間企業は投資しようとしてもできない状態なのである。つまり、中国政府は失業の拡大を恐れ、国有企業優遇の金融政策を進めた結果、民間企業の投資が激減し、それが逆に、中国経済の低迷に拍車をかけていくという構図である。

その一方、多くの民間企業はたとえ資金があっても投資したくない事情もある。その理由について一部の専門家たちが語るのは中国語でいう「信心喪失」の問題だ。未来に対する展望や確信の喪失、という意味合いである。

招商銀行専属の経済学者、劉東亮氏と中華工商時報副編集長の劉杉氏はそれぞれ、「民間企業の未来への信心の欠如」「企業家の信心喪失」を民間投資激減の理由に挙げている。

民間企業がなぜ「信心喪失」となったのかに関し、劉東亮氏が言及したのは「未来における政策の不確実性」であり、劉杉氏が挙げたのは「イデオロギーの変化への懸念」である。

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