糖尿病の恐ろしさ
ちなみに糖尿病とは血液中の糖分が通常より高くなり、それが生涯続くという病気です。
サイレントキラーと呼ばれる通り、深刻な自覚症状がないため、気づかない間に体中の血管がダメージを受けて難くなっていく。この動脈硬化が進むと、心臓や腎臓などの合併症を引き起こすのです。
糖尿病の合併症として主なものは、神経症、網膜症、腎症ですが、糖尿病患者だけでなく予備軍も含め、アルツハイマー病のリスクが4.6倍、ガンになるリスクが3.1倍、その他心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、壊疽なども、健康な人よりもリスクが高まるのです。
もし腎機能が損傷され、人工透析が必要となれば、生涯人工透析器を運びながら移動するしかないという生活を強いられます。
週3回、1回2~4時間の治療を一生受け続けなければならず、多くの時間、体力、お金がうばわれることになります。
つまりこれでは今まで通りの仕事や趣味を続けることは難しくなり、QOL(生活の質)は大きく損なわれるということ。
こうなってしまったら、もはや投資や起業やビジネススキルなどと言っている場合ではなくなります。
健康資産がどれほど大事か、よくわかる話ではないでしょうか。
そしてこれが上述の医師曰く「よくある出来事」であるというのは、糖尿病予備軍も含めると、現在の日本に2,200万人もいるからです。
未成年者を除くと、実に5人に1人以上は糖尿病もしくはその予備軍ということになり、誰でもがなりうるリスクにさらされているということです。
あなたも私も、です。
糖尿病に限らず、あらゆる疾病は生活習慣とストレスからもたらされるわけですから、これらを望ましい方向へとマネジメントすることは、大きな価値があると私は考えています。
血糖値のコントロールホルモン
血糖値とは血液中のブドウ糖の量のことですが、この血糖値を下げる働きを持つのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンであることは広く知られています。
食事によって炭水化物が消化吸収されると、血液中にブドウ糖が増えます。
するとインスリンが分泌され、肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解してブドウ糖として血液中に放出するのをやめる働きをします。
同時に、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄え、さらに余分なブドウ糖は中性脂肪として蓄えるように指示します。
このようにインスリンは、ブドウ糖の分解と貯蔵をコントロールすることで、血液中のブドウ糖の量を一定に保ち、全身の器官に過不足なく栄養を供給できるよう調整弁の役割を果たしています。
ではなぜ血糖値のコントロールが重要かというと、血糖値が高い状態は、命の危険にさらされるリスクが高くなるからです。
血液中のブドウ糖量が多い状態が続くと、細胞中のたんぱく質に反応し、細胞の糖化が進みます。糖化とは硬化と劣化です。
硬化という意味では血管細胞が固くなり、動脈硬化を起こしやすくなります。
劣化という意味では、神経細胞も糖化するため、運動面での反応も鈍くなります。
さらにたんぱく質の中でもコラーゲンはもっとも糖化しやすいため、しわ、たるみ、くすみといった症状につながり、血糖値が高い人は健康な人よりも早く老化が進み、老けた印象になります。
それだけではなく、前述のとおり糖尿病となれば網膜症、神経障害、腎症などを併発し、死に至ることもあるなど、極めて恐ろしいリスクにさらされます。
栄養が不足しても活動できるよう、血糖値を上げるホルモンは複数あります(アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾールなどは体内に貯蔵されているグリコーゲンを分解し血糖値を上げる作用がある)。
しかし血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。
これは、人間にとて飢餓との戦いが長かった証しだと言われていますが、食べ物が豊富な現代では逆に病気を呼び込みやすい身体機能と言えるのかもしれません。