インスリンの過剰分泌が身体にダメージを与える
血糖値を下げるのに重要なインスリンですが、これもまた過剰分泌されると細胞に障害をもたらし、老化を促進してしまうのです。
ちょっと専門的ですが、細胞のDNAが格納されている核には、活性酸素など、細胞にダメージを与える物質を無害化する酵素を作るFOXOという物質があります。
しかしインスリンが分泌されると、このFOXOが核の外に出てしまい、DNAが活性酸素にさらされ、DNAが損傷を受けやすくなるのです。
このようにインスリンの過剰分泌は身体の劣化だけでなく、老化も進めてしまうという弊害があるのです。
つまり、その逆、インスリン値を低く保つ習慣をとることが、健康長寿を保つひとつの方法と言えます。
過剰分泌を防ぐには、血糖値の急激な上昇を抑えることです。
なぜなら、血糖値の急激な上昇は、インスリンの過剰な分泌を招いてしまうからです。
そこでたとえば食事の順番を、野菜類、たんぱく質、炭水化物で食べることで、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。
特に最初に生野菜を食べるとよい、というのはよく知られています。
また、よく噛んで食べることも、満腹中枢を刺激され、食べ過ぎによる過剰な炭水化物接種、そしてそれによる血糖値の上昇を抑えることにつながります。
血糖値の上昇スピードが遅い(低GI)食品を選ぶことも有効だとされています。
砂糖、白米、パン、パスタが高GIですが、これらを避け、玄米や麦、全粒粉パンなどをメインにすることは現実的ではないので、前者2種類が無理なく採用できる方法かもしれません。
酸化が身体の細胞を劣化させる
病気だけでなく老化もそうですが、突然現れるということではなく、すべては細胞レベルでの劣化や老化から始まり、それが長年積み重なることで、病気や老化という症状に現れるものです。
私たちの身体は60兆個の細胞から成り立ち、それら細胞は数か月から数年で新しい細胞に生まれ変わっています。
しかし、二大制御機構の低下や加齢などによって細胞分裂・廃棄の機能が衰えると、うまく生まれ変わらない、生まれ変わっても異常を持っていたりという現象が起きます。
そしてそれがさまざまな問題を引き起こすのです。
その細胞再生能力を阻害する大きな要因として、先ほど述べた細胞の糖化以外にもうひとつ、細胞の酸化があります。
細胞の酸化は活性酸素(厳密には異なるがフリーラジカルとも呼ばれる)によって引き起こされるため、この活性酸素が老化や病気を招く元凶として扱われているのです。
活性酸素は、体内の炎症、激しい運動による筋肉の損傷、酸化した物質を食べる、紫外線を浴びる、強いストレスを感じる、などの場合に発生します。
この活性酸素は細胞の中にもあり、DNAを攻撃するのですが、細胞の遺伝情報が損傷を受けると、通常、その細胞は自ら脱落するようになっています。
脱落したのち細胞は再生されますが、再生よりも脱落が上回ると、いわゆる老化が進むことになります。
また、脱落が不十分で傷ついた遺伝子が残されることがあり、これがガンの引き金にもなると言われています。
このように細胞レベルでダメージを与えるため、糖化とともに活性酸素も老化や病気の大きな要因として扱われるわけです。
もちろん加齢とともに身体が酸化していくのは避けられないのですが、活性酸素の発生を抑えるような生活をすることで、老化スピードを遅めるとともに、病気を避けることにつながります。