中国が迎えた王朝崩壊期。権力闘争本格化で追い詰められた習近平

 

今年3月の全国政治協商会議の開幕式では、式典終了後に最高指導部のメンバーが退場する際に、王岐山が前を歩く習近平に後ろから手をかけて呼び止め、話しかけるということがありましたが、これは王岐山が習近平の権威を貶めるものであり、王岐山が自ら習近平よりも権力を持っていることを示したものだと言われました。

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となれば今回の黄の失脚も、王岐山が習近平を裏切り、習の側近を切り崩そうとしている動きだとも考えられます。江沢民派、団派もこれに協力し、習近平から権力を削ごうとしている可能性もあります。

最近、南シナ海をはじめとして習近平の外交は次々と失敗しており、経済も停滞すればその責任は逃れられません。長老や党のライバルにとって、こうした失政は習近平に押し付けたほうが好都合です。いま習近平にとって代わったところで、中国混乱の責任を取らされるだけだからです。

問題は、来年秋の党大会で、習近平が人事の主導権を握れるかどうかにかかっています。現在の政治局常務委員は、その多くが江沢民派によって占められていますが、来年の党大会でその多くが引退、それに代わって胡錦濤率いる団派の勢力が増すと思われています。

これに対して習近平派は栗戦書くらいしか入ることができず、党内のパワーバランスが団派優位に変化すると見込まれています。習近平としてはこれを静観できないでしょう。だから団派の李克強首相から経済の決定権を奪い自らが決定するシステムを作り上げてきたわけです。

李克強首相が今年の全人代で何度も読み違えをしたり、習近平主席とまったく目を合わせないといった態度にも、両者の対決姿勢が出ていました。とはいえ、中国の権力闘争はいつ何があるのかまったく先の読めないドラマのようです。敵と味方がいつの間にか変わってしまうこともよくあり、騙し合い、化かし合いの世界です。

習近平については、中国人はかなり前から草包」(バカと呼んでおり、原稿がないとスピーチもできず、しかも読み違いが多いことで有名です。前回のメルマガでも、G20での読み違えが中国国内で嘲笑されたことはお伝えしました。

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一方で、胡錦濤は心臓が悪いため体力不足、江沢民は高齢のうえに膀胱がんを患っているとされていて、いつどうなるかわかりません。

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