「1年以内に無理なら取引を見直す」激震が走った米HP社からの手紙

 

また、この手紙の送付を受けて、広告専門誌のAdAgeがルシオさんにインタビューし、より詳しく事情を伺っている。

興味深いのは、AdAgeからの質問に対する返答。

多様性があってバラエティ豊富な人材が集まることで会社は成長すると言い切れますか?・・・との問いに、

私たちの打ち合わせに一回来るといい。多様な視点がもたらす濃厚な内容、とにかく楽しく刺激がある。

これまでなかったような激しい議論にも発展するけども、それが革新と打開策をもたらしているんだよ。

と答えている。

また、ルシオさんは、女性や多様な人材を雇用する際に、よくやりがちなのが、

ほら、ここに10個の役職の空きがあるから女性と多様な人材を雇用しよう、雇用したら変わるだろう」だと指摘し、それではまったくダメだという。

何事もそうだけど、まずは、自分たちで戦略を考える。社内外で必要となる人はどういう人なのか?より良い方向に変えていくため、クリエイトしていくには、どのポジションに誰が必要なのか?

導きだすのに12か月間かかったそうだ。

つまり、表面だけで女性雇用や多様性を叫んでも、任せっきりではダメだし、どこになぜ必要なかを明確にしないと失敗するということだろう。

ちなみに現在、HPには世界中合わせて全部で1,000人のマーケティング社員がおり、その55%が女性だという。マネージャーレベルでみると43%。多くの企業と比べても多いほうとのこと。

しかし以前は、マーケティング部門のトップでルシオさんの直の部下のリーダー的役職には10人中たったの2人しか女性がいなかったという。たったの20%だ。それを倍にした。まずはトップレベルから変えないといけないとアドバイスしている。

ちなみに、今回手紙を受け取ったHPの広告代理店及びPRエージェンシーはオモニコム・グループのBBDOとPR会社2社、Fred & Farid、電通傘下のGyroの全部で5社。

これらの会社のクリエイティブとマーケティング戦略部門の50%を女性にしてほしいとルシオさんは望んでいる。

しかも、HPだけでなく、ジェネラル・ミルズも今年8月に社員の50%が女性、有色人種が20%いる広告代理店だけ広告コンペに参加してほしいと発表している。今後、大手広告企業もこれに続く可能性はあるだろう。

ご参考:
HP becomes the latest brand to demand all its advertising agencies hire more women and people of color

HP Demands Ad Agencies Diversify Their Workforces

Q&A: HP’s Antonio Lucio on Why Diversity Matters

General Mills only wants an ad agency staffed with 50% women and 20% people of color

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