それがお金と違うところだ。平尾誠二が生涯大切にした恩師の教え

 

山口監督の指導は厳しかったですね。当時の仲間たちのほとんどが殴られていると思いますよ(笑)。いまの時代は許されないけれども、当時はそんなこと当たり前でした。文句を言うやつもいませんでしたし、ある意味いい時代だったと思いますよ。

そんな中で印象に残っているのは、よく人間の力の話をしてくださっていたことです。非常にいい話で、いまでも僕は大切にしているんです。

僕らが3年の頃にはすごく強いチームになっていて、どことやっても勝っていました。前半で点差が40、50点開いたりするので、つい手を抜いたり、気を抜いたりするんですが、それでも余裕で勝ってしまう。

すると先生は、ハーフタイムの時にえらい怒るわけですよ。「なめてんのか!」と。そしてこんな話をよくされたんです。

人間の力は全部出し切らないと増えない。だから、余すことなく使わなければいけないのだと。

いま10ある力を全部出し切ったら、10.001ぐらいになる。次の試合でその10.001を全部出したら10.002というふうに力が増えていく。出し切らずに溜めたら逆に減ってしまうんだと。

そして最後の締めくくりに、「それがお金と違うところだ」と。

 

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