TVショッピングがいい例。「結論から話せ」は必ずしも通用しない

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至るところで見聞きする「結論から話せ」というアドバイスですが、これ、どんな相手でも通じるものなのでしょうか。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、「必ずしもその方法は万能ではない」とし、「相手の見極めこそが重要」と説いています。

「結論から話せ」は正しいか?

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

「話し方」の書籍などを読むと、人を説得したり、わかりやすく話したりするためのテクニックが書いてあります。話し方の本は、様々な分野で活躍している著者が書いており、経験から導き出した方法論は、非常に参考になります。

その中で、多くの著者に共通する代表的な教えに「結論から話す」というものがあります。それに類する方法として

「重要なことから順に話す」
「話を3つの要点をまとめ、最初に言う」

などといった方法が、よく紹介されています。どれも間違いではないと思いますし、正しいやり方の1つだと思います。しかし私は、必ずしもその方法は万能ではないとも思っています。というのも、人にはいろいろなタイプがあり、どのような話し方をすれば受け入れられやすいかということも人により異なるからです。

もちろん、ビジネスでも、たとえば企画などのプレゼンをする際、「○○をすべきです。なぜなら~」と結論から話すほうが良い場合が多いと思います。しかし、中には、社会や市場の現状などの分析を長く話してから

「したがって、こうすべきです」

といった、プロセスを前に持っていく話し方のほうが納得する人もいます。そういう人に対して、最初から結論を提示してしまうと、身構えてしまい、逆に説得しにくくなります。

状況によっても異なります。テレビショッピングで、「この腹筋器具は1万円。すぐ買うべきです。なぜなら~」と進めるでしょうか。決してそうはしません。

まずお腹が出た人を写し、腹筋器具で運動をしている場面を写し、その結果引き締まった腹筋を写して、視聴者の感情を刺激します。そして、最後に値段と腹筋器具を買うよう進めるのです。したがって、全ての場合に結論から話せというのは通用しないのです。

 

では、相手のタイプをどうやって見極めればよいのでしょうか。秘訣は、その人が普段ものを説明する時を観察することです。その人自身が話すときの論理構成で、

「結論→プロセス」
「プロセス→結論」

のどちらの話し方が好みなのか、ある程度知ることができます。ビジネスの会話だけではなく、雑談での盛り上がり方でも、相手のタイプはわかります。

たとえば、夏休みに行った旅行について雑談をしているとします。結論から話すタイプの人は、「いやー、散々な旅行だったよ」と総括的なことを最初に言い、そのあと「急に雨が降ってきて」「渋滞もひどくて」など、何があったのかを話し始める傾向があります。

プロセスから話すのが好きな人は、雑談でも意識せずに時系列になっているもの。

「朝、飛行機に乗ったとき」
「現地についてから雨が降ってきて」

といったように順番に話を展開し、最後に「さんざんだったよ」とまとめる話し方になります。こちらも、相手のタイプに沿った話し方をしたほうが、盛り上がりやすくなります。

ただ、頭の良い人は、ビジネスでは結論から話し、雑談ではオチをつけるためにわざと時系列から話す人もいます。したがって、ビジネスでの話し方に注目すればよいでしょう。

人を説得するため、楽しませるため、といった目的を達成するための会話の技術を磨くことは、唯一無二の「話し方」を身に着けることではありません。相手のタイプを見極めそれに合わせた話し方をすることが最も大切なのです。

「俺は…引き受けると、言ったんだ…なら、話はそれで終わりだ…」(ゴルゴ13)

今回は、ここまでです。

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弁護士谷原誠の【仕事の流儀】
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。

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