【書評】ベテランは褒められたくはない。年下部下との仕事の仕方

 

さっそく、その気になるポイントを見て行きましょう。

2016年からの10年間で、大企業(従業員1,000名以上)では約340万人程度の50代非管理職が生まれると推定されます。これは2015年の統計局データから、現在40代の日本の総労働人口に、大企業で働く人の割合(約30%)と非管理職の割合(約72%)を掛け合わせた数値です

少し前までは、日本企業は出世を是とした男性中心の文化で形づくられていました。しかし、それは働く人のほとんどが敗者となる仕組みです。ベテラン社員がイキイキと活躍できる組織への進化は、誰もが幸せに働き続けていく社会への進化でもあります

◆「54歳」でモチベーションが変化する!
54歳以降になると、「なるべく今の仕事を続けたい」「今の能力で対応可能な仕事がいい」という気持ちが、挑戦したい、成長したいという気持ちを、大きく上回るようになってきます

◆「仕事年表」でお互いの経験を見える化して共有する
「仕事年表」に1年を1行で記入してもらい、思い出深い経験を一つひとつ聞いていきます。そしてその経験から何を学び、何を大切にしていたかを共有していきます

一人ひとりに個性的な人生がある。そんな違いを受け止めるところから、人間関係の土台ができあがっていく

3割程度の人、特に現状活躍できていない人に共通する結果は、「昔のことしか思い出せない」という現実です(中略)残念な人は、後半、特に直近5年、10年がまったく埋まりません

◆獲得した能力・スキル・マインドは3つの側面で見る
1.その人が生まれ持っているような才能に近い能力
2.経験に基づく知識(例 営業経験によって身についた顧客との人間関係づくり)
3.行動特性に近い強み(例 ピンチになっても動揺しない)

ここまで聞けたら本物──「私のマネジメントに意見をください」

自分を守るために持ってしまったプライドを、仕事の品質に対するプライドへとシフトさせていくことが重要なカギ

「プライド・シフト」に向け、ベテラン社員に対して「自己探求シート」の作成を依頼します

ベテラン社員は褒められたくはない

人間として生まれ、生きていく上でもっとも根本的で大切なスタンスは、自分が世の中へ人間として生まれてきたことへの感謝の念を持っているかどうか

内容の秀逸さもさることながら、おそらく編集者も深い興味を持って読んだであろうことがうかがえる文章の「勢い」に魅せられました。

なかでも、ある企業の経営者が、弱肉強食を是とする部長をたしなめた次の言葉が、キャリアにおける新たな時代の到来を予感させました。そのまま引用してみます。

管理職を目指すことだけが正しいという価値観では、多くの社員が敗者になってしまう

敗者ばかりを生み出すような組織では、社会的に存在意義がないと思う

社員全員が、自分の人生の勝者になってほしい

社員全員が自分の人生の勝者になれる組織仕事。これこそが、これからの日本企業が目指すところでしょう。読んでみて、自分のこれまでのスタンスも見直す良いきっかけとなりました。強烈にオススメの一冊です。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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