可愛い顔した脅威。フリマアプリ「メルカリ」が小売業を滅ぼす日

 

2.メルカリって何?

メルカリは、2013年にサービスが始まったフリマアプリである。フリーマーケットのように自分で価格を設定し、あらゆるモノを販売できる。

人気の理由は手軽さにある。登録や出品の費用はゼロで、成約時に販売価格の10%が販売手数料として徴収される。売りたいものをスマホで撮影し、特徴などの説明と希望額を入力するだけで出品が完了する。個人間の取引なので、消費税もかからない

メルカリでは、どんな商品でも出品可能だ。実例として紹介されているのが、トイレットペーパーの芯だ。幼稚園や小学校では「捨ててしまうトイレットペーパーの芯を持ってきてください」と急に言われることがある。そうは言っても、トイレットペーパーの芯だけを買うわけにはいかない。そんなニーズに応えるために出品した人がいるらしい。

若い人は、使いかけ化粧品も買うらしい。香水は分かるが、ファンデーションも自分のパフを使うのだから抵抗はないというのだ。考えてみれば、化粧品を完全に使い切る人も少ないのかもしれない。試験的に買ってみて、飽きたら売る。買った人も使うだけ使ったら売ればいいのだ。合理的と言えば、これほど合理的なことはないだろう。

こうなると、家の中にあるものは何でも売れるということになる。正に、あらゆる人が売り手であり買い手でもあるのだ。

3.「ヤフオク」と「メルカリ」の違い

不用品を処分する手段としては「ヤフオク!」があったが、「メルカリ」の仕組みはこれとは異なる。

ヤフオク!で価格を決めるのは顧客」だ。出品時に設定した制限時間内に、顧客が商品の価値を見極め、購入希望額を入札し、他の希望者と競り合って価格が決定される。(例外として、「ワンプライス出品」という価格固定の出品形式もある)

メルカリ、「出品者が販売希望額を決めそれに納得した買い手が購入申請をする。出品者にとっては、オークションのように値が釣り上がることはないが、想定以下の価格になるという心配がない。支払いは前払いで、期限が設定されている。

と言っても、買い手は一方的に定価を押しつけられるわけではない。「メルカリ」の商品ページにはコメント欄があり、そこで「価格交渉」を行うことができる。「他の商品とまとめ買いするので安くなりませんか?」というような交渉をすることが多いようだ。

「メルカリ」では、競り合うことがないので、出品者が価格相場を知らなければ、低い価格を設定することもある。顧客にとっては、掘り出し物が見つかる可能性が高いということにもなる。

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