「環境後進国」に成り下がった日本。汚名挽回の秘策はあるのか?

 

結局、世界最新鋭とはいえ、CO2排出の多い石炭火力の新設に依存せざるを得ず、太陽光発電、地熱など再生可能エネルギーも世界に比べ遅れている。また目標達成には家庭やオフィスで4割の削減が必要だが、LED照明への切替やハイブリッド車の普及はコストがかかるため思うように進まない

日本の世界における温室効果ガスの排出割合は3.8%で、中国の20.1%、アメリカの17.9%、ロシアの7.5%などに比べるとずっと少ない。しかし、原子力発電には国民の抵抗が強いし、再生エネの比率も30年度に22~24%と見込んでいるが現状は12.2%しかないのが実情だ。

実は現在の各国の目標がすべて達成されても気温上昇を2度未満に抑えることはできないといわれており、5年毎にさらに厳しい目標に見直すことが義務付けられる。

温室効果ガス排出増加の影響は、気温の上昇だけではない。最近、日本を含む世界で頻発する豪雨や熱波干ばつも地球温暖化の影響とみられる。日本でも50年ぶり、70年ぶりといった河川の氾濫など自然災害の多発や、穀物生産への影響など人々が異常を肌で感じ始めている。

日本は環境技術で先行することにより、経済競争力でも優位に立ってきた。今後の日本の大きな役割は、パリ協定から脱退すると言い始めたトランプ米新大統領を説得して立ち遅れた汚名のばん回をはかることだろう。

(電気新聞 2016年12月2日)

image by: Ryan Rodrick Beiler / Shutterstock.com

 

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