【書評】暴行、ストーカー、売春…老人たちはなぜ半グレ化するのか

 

残りの人生を誰もが生き甲斐を持ち、胸を張って送れるのなら問題はない。取材を通じて浮き彫りになったのは、もてあます時間とエネルギーをどう使ってよいか分からず、老いに焦りながら迷走を続ける、不器用な高齢者の姿だったという。迫り来る死を意識し、残された時間は限られているはずだが、毎日の時間は有り余っている。現状が幸せとは思えない。満たされていない。だが打開する術が分からない。達成感や充足感とは無縁の、砂を噛むような時間が延々と続くとしたらまさに「生き地獄」だ。「こんな長生きするはずはなかった」という戸惑い。「枯れるだけ」で日を費やすには余生はあまりにも長い。

あとがきの提言が正しい。

少子化で労働力の低下が叫ばれる今日、「枯れない」高齢者を一日も早く、社会の中で有効活用しない限り、超老人大国となるこの国はいずれ潰れてしまうと感じている。「時間があり過ぎて困る」とボヤく高齢者があきれるほど多いのだ。彼らの余暇とエネルギーを無駄遣いさせていることこそ、この国の大きな損失だろう。

彼らの持つ虚ろな時間を、活力を、能力を、空費させることなく、社会の何かへ生かすシステム作りが急務ではないのか。これから高齢者になる人に向けた対策だ。いま現在の高齢者には無駄な過剰な医療は停止し、自然に任せるべきだとわたしは思う。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock

 

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