中国の「対日戦略」を復習しよう
昔からの読者さんは、知り尽くしていますが、大事なことなのでもう一度復習します。
2012年9月、日本政府は、尖閣を「国有化」しました。激怒した中国は、「日本を叩きつぶす!」と決意します。そして2012年11月、中国の代表団はモスクワを訪問。
「反日統一共同戦線」構築を、ロシアと韓国に提案しました。
この戦略の骨子は、三つです。
- 中国、ロシア、韓国で【反日統一共同戦線】をつくる
- 中ロ韓は、共同で「日本の領土要求」を断念させる(日本には、尖閣だけでなく、【沖縄】の領有権もない!)
- 「反日統一共同戦線」に、「アメリカ」を引き入れる
全部驚愕ですが、特に「3」は大事です。中国は、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」に引き入れたい。そして、この戦略は、実際成功していたのです。
それで、2013年12月に安倍総理が靖国を参拝すると、世界的大バッシングが起こった。中韓にとどまらず、アメリカ、イギリス、EU、ドイツ、ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などが、「靖国参拝」を非難しました。これは、中国の「反日統一共同戦線戦略」の結果です。
さて、中国は、どうやってアメリカを「反日統一共同戦線」に引き入れるのか?
- 安倍は、右翼である!
- 安倍は、軍国主義者である!
- 安倍は、歴史修正主義者である!
笑っちゃうようなプロパガンダですが、中国が大金を投じた結果、大きな成果が出ている。青山繁晴先生がおっしゃってましたが、安倍総理は欧州で、「ソフトファシスト」と呼ばれている。
ところで、この「反日統一共同戦線」戦略、今はどうなっているのでしょうか? 2014年初まで、非常に成功し、安倍総理は追いつめられていました。しかし、その後2014年3月の「クリミア併合」で、アメリカの敵意が、日本からロシアに移った。2015年3月の「AIIB事件」で、アメリカの敵意は、ロシアから中国に移った。というわけで、一応「停滞している」状態なのです。
しかし、中国に関しては、一刻も油断できません。トランプは、台湾の蔡英文総統と電話会談するなど、はっきり「反中」の姿勢を見せています。中国の思考だと、「アメリカと直接対決しよう!」とはならない。「アメリカの敵意を、中国から別の国に向けさせよう!」と考える。
第1のターゲットは、ロシアです。アメリカで「反プーチン」の世論を煽って、中国問題を忘れさせる。
第2のターゲットは、日本です。どうやって? 以前と変わらず、「安倍は右翼、軍国主義者、歴史修正主義者で、全然大戦の反省をしていない!」とプロパガンダすることで。