適切な言動である。なすべきをなしている子供をこそ、認める。それは、ある意味で大変「地味」な言動である。例えば人の話は真剣に聞くといったことである。そんな「当たり前」がいかに素晴らしいことかを伝える。不適切な言動を繰り返している子供も、そこに学ぶ。こちらを先の記事でいうなら、素晴らしい参加態度や代表スピーチをした成人式の報道である(東日本大震災の後は、これがかなりあった。復興には若い力が絶対に必要である)。
不適切な言動をしている子供が悪いのではない。不適切な言動そのものがその場において「不適切」であり、悪いのである。だから、その言動自体は無視する。実は子供を無視しているのではなく「意図的な無視」という教育を施しているのである。
そして、不適切な言動を無視することは、その意図まで事前に全体へ伝えておくことも大切である。「立派な成人への称賛」が、次の立派な成人式を生む。逆をいかないことである。
この学級経営の原理原則は、社会に適応できる。注目される言動は、正負に関わらず強化される。「日本の成人はダメだ」という点に着目すれば、事実とは別に全体の自尊感情は当然下がる。歴史を含め、そこに着目させるのだから「日本の子供の自国のへ自尊感情は世界一低い」なんて、当たり前である。
全国各地で、素晴らしい成人式が多数開かれているのが事実である。偏った見方だと、都市部の成人式が「荒れる」と見えるのは、当然である。実は荒れているのではなく、分母が大きいだけである。分母が大きければ、割合の関係上、当然不適切な言動をとる「子」の絶対数も増える。
「10人の荒れている成人(?)」を見るか。「9,990人の立派な成人」を見るか。どちらも同じ事実を、違う視点で見ているだけのことである。
何度も繰り返すが、99.9%の立派な新成人にとって、偏った報道は誤解を招く大迷惑である。自尊心を構成する一つである「地域への誇り」も傷つけられる。
日本の未来を担う新成人を、祝福・歓迎したい。
著者/松尾英明
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