また学校側の屁理屈。「暴行動画流出」でもいじめと認めない理由

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ネット上に沖縄の中学生による暴行動画が流出するも、当の学校側が「いじめではない」としたこともあり、大きな問題となっています。なぜ教育の現場はこうした「明らかないじめ」についても、頑なに認めようとしないのでしょうか。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』ではその理由を解説するとともに、これまでも繰り返されてきた学校サイドのあきれた「責任回避」とも言うべき姿勢を厳しく批判しています。

学校にとっては暴力より「いじめ」が問題

沖縄の中学生の暴行動画がネット上に流出し、問題となっています。撮影場所は校外で、1人が暴行を加え、2人が動画を撮影し、4人に取り囲まれての事件です。動画は約2分で、1人の生徒が全く抵抗しない男子に殴る蹴るを繰り返す様子が撮影されています。

沖縄タイムスの報道によれば、「教委は事実関係を調べ、いじめとはみていない。学校側は、加害者とその保護者に指導を行ったと説明している」とあります。この報道を受けて批判が殺到しており、この件で、アイティメディア社の「ねとらぼ」編集部は中学校長に取材したとのことで、以下に引用してみます。

被害生徒と加害生徒らは小学校時代からの友人関係であり、中学進学後も家族ぐるみでの付き合いが続いていたとのこと。一方的ないじめなどに発展したことなどは今回の事案以前には確認されておらず、「文句を言った」「言わない」といったささいなトラブルが原因で暴行へと発展したとみている。

また校長は、「いじめとはみていない」と報道されていることについて、「いじめとは集団などで長期的に1人を対象に行ういやがらせなどを指し、今回がそれに該当するのかどうかについては難しい。友人間のトラブルとみている」と複雑な心境を明かした。

市教育委員会・指導課を取材したところ、本件については「いじめという認識をもち、対暴力について事実確認及び指導を行っている」とした。この事案について沖縄タイムスが「同級生を暴行、動画で拡散 教委『いじめとみていない』」と報じ、本文中で「中学校がある自治体の教委は事実関係を調べ、いじめとはみていない」としたことについては、「私(担当者)の言葉足らずがあるかもしれないが、事実ではない」と否定した。

この校長の頭のなかにある「いじめ」の定義は、平成18年(2006年)度以前の「継続的であることが条件であった時代のものであることがわかります。「いじめ防止対策推進法」の中で「いじめ」が定義されている現在、教師、ましてや校長が定義を理解していないのは職務怠慢というべき状況です。結局、学校長は「いじめではない」と言いたいだけのように聞こえます。

私たちも数多くのいじめ相談を受けておりますが、学校において「いじめでなければ良いんだ」という考え方が増えているように思います。前述の沖縄の事件は、「いじめ」というよりも「リンチ事件」です。加害者は、「暴行罪」であり、「傷害罪」に問われて当然ですし、一般的ないじめよりも悪質」です。

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