80歳以上のリアル高齢ドライバーに聞いた「ドライブ感覚の衰え」

 

吉田「お爺さんの叫びを聞いて、やっぱり生の声を聞くべきだと痛感しました。マスコミや警察発表の一方的過ぎる高齢ドライバーを悪、いえ、敵視させる手法は自動車メーカーの新しい技術を早期に導入させるためのスケープゴートな気がしてならないんですよ」

祖父「それはどういうことじゃ?」

吉田「事故率は減少しているんですけども、80歳以上のドライバーの人口増にともなって事故が嫌でも目立ってしまっている。で、自動車メーカーは大急ぎで自動運転技術や自動ブレーキのアシスト付きのクルマを積極的に販売していく考えを持ってまして、警察庁と国土交通省やマスコミと組んで、高齢ドライバーが事故ばかり起こすイメージを国民へ植え付けているようなんです」

祖父「なんじゃと!? 政府は何を考えているんじゃ! 高齢者だって無事故無違反で安全運転に努めている者だっているだろうに! 当然だが若い時よりか反射神経は老人なので衰えはある。だがな、全員が全員、事故を起こす予備軍みたいに扱われるのは憤慨じゃよ!」

吉田「そうですよね。お気持ちは察します。ですが、運転手だけが一人で自爆事故を起こしていればいいのですが、人を巻き込んでの死亡事故がどうにもこうにも目立ってしまっていて、政府側としても黙っていられないあちらの立場も十分理解できるんです」

祖父「それにしても、ワシみたいに運転技術や技能の衰えが怖くて感覚を忘れてはいけないと思って毎日運転している者なんかは対象外じゃないのかね!」

吉田「それはそうなんですが……結局政府側はそういう個人個人のことまでフォローできない状態ですから残念ですが同列にお爺さんも並べられてしまうんです」

祖父「は!? ワシはな、かれこれ35年ぐらい無事故無違反なんじゃよ。おまわりの勘違いで危うく一時停止違反のキップを切られそうになったが、口論になった挙句、なぜか厳重注意とわけのわからないことを言われて、腹が立ったんで警察署へ怒鳴り込みに行って”あんたらの管轄にいる警官は誤認で違反キップを切ろうとして、さらにそれが間違いだったと渋々認めたと思ったら厳重注意とか意味わからんことを言いおってどうかしてるぞ!”と」

吉田「お爺さん元気過ぎます(笑)。田村くんいわく100歳まで生きるお爺ちゃんって言ってましたがもっと長生きしますよー!」

祖父「むしろいつも怒ってばかりいるから、いつ血圧上がってポックリいくかわからんけどな」

吉田「お爺さんに言われて僕も気が付いたことなんですけども、僕自身がマスコミ職という報道する側にいるから違和感ばかりが先走る形になってしまいましたが、先ほどおっしゃられた週末や休日しか運転しないホリデイドライバーと、お爺さんのように毎日クルマを運転しているドライバーを同列に並べて高齢ドライバーの事故が多いっていう報道は偏向報道な気もしてきたんですね。こうやって直接お話ができて生の声を拾えて初めて気付いたことでもあるんですが、毎日運転している人の方が事故遭遇率が当然運転している時間が長いことから多いと思ってましたが、むしろ休日とかたまにしか運転しない人の方が確かにイエローラインを平気でウインカー出して車線変更するわ、右折禁止の交差点でも曲がろうとするわと、思い返せば色々そういうドライバーを見てきたっけなぁと。となると、普段からあまり運転しないドライバーの方が事故誘発率がとても高いんじゃないかと感じるんです」

祖父「そうじゃろそうじゃろ。あんたの柔軟な考え方は好きじゃ。マスコミの連中なんてもっと頭が固いもんじゃと思っていたがな (笑)」

吉田「つまり僕が何を言いたいか、伝えたいかと言いますと、毎日運転しているドライバーの方が時間計算だけで測定すれば運転経験を多く積めるわけでして、ホリデイドライバーは経験が未熟のままゴールド免許とかになっているんで、それが自分には安全に運転できると勝手な思い込みもあったりしているのかなって」

祖父「その可能性はあるかもしれない。ワシの周囲の爺さん連中は時折クルマを運転するだけのドライバーが多いんじゃが、みんなゴールド免許証になっているしな。あんたが考えていることは間違ってないかもしれないぞ。ちなみに警察側やマスコミ側はホリデイドライバーな未熟な運転技術のままの高齢者の危険性に関して何か物申すこととかしないのかい?」

吉田「ええ、残念ながら警察関係者からもマスコミ側からも高齢ホリデイドライバーの危険性を議題に挙げているなんてお話は一切伺ったことはないですね」

祖父「最優先事項はその高齢ホリデイドライバーに言及することだとワシは思うんじゃがな。政府が今最初にやらねばならない一番欠けていることはそれじゃよ。なぜかって言うとじゃな、普段運転しているわけじゃないから判断力の欠如が著しく激しいんだな。ワシの囲碁友だち連中と話していると”道路標識がいっぱいあるから瞬時に判断できない””道路に書かれている直線だけとか右折禁止の表示がもっと手前にないと困る”等々、日常で運転をあまりしてないワシの周辺の爺さん連中はいつもこんなことを言ってるんじゃよ。それなのに高齢ドライバーと高齢ホリデイドライバーを同じに扱われるのは間違いなんじゃなかろうかと思うんじゃがね。警察もマスコミもどうしてもっとこの辺の実態を積極的にクローズアップしてくれないんだ?」

<次回へ続く>

 

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