日本で「人食いバクテリア」感染が過去最多。致死率30%超の恐怖

 

 Vibrio菌よりずっと恐ろしいのは、近年激増している溶連菌によるものだ。このタイプの人食いバクテリアは正式には「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」と呼ばれ、日本ではここしばらく、年間100人から200人くらいの患者数であったものが、2015年には431人、去年はさらに増えて11月半ばまでにすでに442人に上り、この勢いだと、年間500人を超えそうである。この感染症は1987年にアメリカで報告され、日本では1992年に初めて報告された。

この病気を引き起こす溶連菌は、主としてA群溶血性レンサ球菌で、ごくありふれた細菌である。一般的には咽頭炎を引き起こす病原菌としてよく知られている。普段は咽頭や表皮などに棲みついていて、病気を引き起こしたりしない常在菌の一種であるが、時に咽頭炎を引き起こしたり、さらに致命的な人食いバクテリアに変身したりする。おとなしく平和に暮らしていた人が、何かの加減で強盗や人殺しに変身するようなものだ。問題は何かの加減とは何かということだ。

劇症型を発症すると、四肢に激痛を覚え、1時間に2~3センチの速度で壊死が進行していき、早ければ24時間で患者は死亡する。死亡率は約30%。命が助かっても脚や腕を失うことも多い。なぜ、ありふれた溶連菌がかくも恐ろしい菌に変身するのか。大阪大や北里大の研究によれば、溶連菌に組み込まれたファージ(細菌に寄生するウイルス)の部分に突然変異が起こり、強い病原性が現れるのではないかという。突然変異した遺伝子がどんな悪さをしているかはまだわかっていないようだ。

2011年以降に患者数が急増していることから(2009年約100人、10年約120人、11年約200人、12年約240人、13年約200人、14年約260人)、福島原発の放射能漏れによって溶連菌が突然変異を起こしたのではないかという人もいる。30代以上の人の発症率が高く、高齢者は死亡率が高くなるが、普段、健康な壮年の人でも発症して死亡することもある。のどから感染するほか、傷口や火傷からも侵入するようで、手洗い、うがい、傷口の消毒といった日常のケア以外に、予防法はなさそうである。気休めかもしれないけどね。

もしかしたら、遺伝的になりやすい人とか、免疫的な問題などがあるのかもしれないが、詳しいことは何もわかっていない

image by: Wikimedia Commons

 

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