アメリカは、どう日本を利用するのか?
では、アメリカは、日本をどう利用する可能性があるのでしょうか?わかりやすいのは、「経済面」ですね。
「米国債をもっと買え!」
「貿易不均衡を解消しろ!アメリカ製品をもっと買え!」
これは、目に見えるので、ある面対処しやすい。しかし、問題は、「安保面」です。日本が直面する可能性のある最大の問題は、「アメリカが対中国で、日本をバックパッシングするかもしれない」ことでしょう。
「バックパッシング」(責任転嫁)とは、つまり「アメリカが勝つために、中国と日本を戦わせること」を意味します。どうやって?
リアリズムの大家ミアシャイマー教授は、その著書『大国政治の悲劇』の中で、「バックパッシングの方法」について触れています。4つ方法がある中で、もっとも「今の日米関係に当てはまる」と思われるのは、以下の方法です。
4つ目は、バックパッサーが、バックキャッチャーの国力が上がるのを許すだけでなく、それをサポートまでしてしまう方法である。
(『大国政治の悲劇』227p)
意味わかりませんね。これはつまり、「アメリカが、日本の軍備増強をサポートする」という意味。なぜ?
これによりバック・キャッチャーが侵略的な国家を封じ込めてくれれば、バック・パッサーにとって傍観者のままでいられる可能性が高まるからだ。
(同上)
言い換えると、「これにより日本が、侵略的な中国を封じ込めてくれれば、アメリカは傍観者のままでいられる可能性が高まるからだ」となります。日本が中国と戦ってくれれば、アメリカは、「楽ですわ」と。トランプ政権は今、このプロジェクトを始めているようにも見えます。
対策は?
03年、ジョージアで「バラ革命」が起こり、「アメリカ傀儡サアカシビリ政権」が誕生しました。08年8月、ジョージアは、ロシアと戦争。結果、アプハジアと南オセチアを失いました。14年2月、ウクライナで革命が起こり、「アメリカ傀儡政権」が誕生しました。14年3月、ロシア、クリミアを併合。14年4月、ウクライナ内戦勃発。結果、ウクライナは、クリミア、ドネツク州、ルガンスク州を事実上失いました。
このように、アメリカに「バックパッシング」された国々は悲惨な目にあっています。日本はどうすればいいのでしょうか?
「軍備増強」はいいですが、アメリカにそそのかされて中国を挑発するべきではありません。それをやると、日本はアメリカの「バックパッシング戦略」の犠牲になります。
そして、アメリカが何かオファーをするとき、それは必ず、「アメリカの国益」であることを忘れてはいけません。だから、「アメリカ盲従主義」はダメなのです。常に自分の頭で考えることを忘れず、自立を目指していきましょう。
結婚も離婚も、まず「心の中から」始まります。日本国の自立も、まず私たちの「心の中から」始まるのです。
image by: 首相官邸