騙されるな日本。いつから米国は「信用できる国」になったのか

 

同盟国をコロコロかえるアメリカ

次、2.アメリカは、同盟国をコロコロかえてきた。

第2次大戦時アメリカは、「資本主義打倒」を国是に建国された「最大の敵」ソ連と組みました。そして、ナチスドイツ、日本と戦った。第2次大戦が終わると、今度は敵だった日本、そしてドイツ(西ドイツ)と組んだ。そして、大戦時の味方だったソ連と対峙した。それでも、アメリカは、ソ連に対して劣勢でした。

で、どうしたか? 1970年代初め、アメリカは、何と共産中国と組む決断をします。主導したのはニクソン大統領とキッシンジャー大統領補佐官。ニクソンは1971年7月、「中国を訪問する!」と発表。同盟国日本は、15分前までそのことを知らされていなかった。日本政府は大きな衝撃を受けます。

1972年7月、田中角栄、首相に就任。1972年9月、彼は電光石火の早業で、「日中国交正常化」を成し遂げてしまった(@アメリカと中国の国交正常化は、1979年)。アメリカを出し抜こうとする田中総理にキッシンジャーは大激怒。「ジャップは最悪の裏切り者!」と絶叫したことが、明らかになっています。共同通信2006年5月26日から。

「ジャップは最悪の裏切り者」(解禁された米公文書より)
72年にキッシンジャー氏

 

【ワシントン26日共同】ニクソン米大統領の中国訪問など1970年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官(後に国務長官)が72年夏、田中角栄首相が訪中して日中国交正常化を図る計画を知り「ジャップ(日本人への蔑称)」との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していたことが、26日までに解禁された米公文書で分かった。

ちなみに、キッシンジャーは、この時の恨みをその後も忘れていなかったようです。アメリカ在住政治アナリスト伊藤貫氏の名著『中国の「核」が世界を制す』に、キッシンジャーと直接会った時の感想が出ています。

キッシンジャーは、日本人に対して鋭い敵意と嫌悪感を抱いている。
(『中国の「核」が世界を制す』116~117p)

キッシンジャーからは不快なものを感じた。彼が、日本人をほとんど生理的に嫌悪・軽蔑していることが感じられたからである。
(同前117p)

さて、トランプさんは2016年11月17日、そんなキッシンジャーさんと会談しています。曰く「私はキッシンジャー氏を非常に尊敬している。意見交換できてうれしい!」。何を話したのでしょうか?

というわけで、アメリカが自国の事情で同盟国をコロコロかえるのは、「歴史的事実」です。

「日米同盟は不変!」
「日米同盟は永遠!」

口で言うのはいいですが、心からそう信じていたら、かなりヤバいです。正確にいうと、「日米同盟はアメリカと日本の国益が一致している間だけ続く」となります。

アメリカは、法的にみて「正義の味方」ではない

3つ目、「アメリカは、法的にみて『正義の味方』ではない」。これは何でしょうか?

日本人は、「アメリカは善、中国は悪」と考えているでしょう? 私は、「アメリカは善」とは言いませんが、「中国は悪」と100万回くらい書いています。というのも、中国は、「日本には尖閣だけでなく沖縄の領有権もない!と詐欺師のような主張をしているからです。「南シナ海埋め立て」も、大問題ですね。

だからといって、アメリカが「真っ白」というのは事実ではありません。いろいろしていますが、代表的な「悪」は、なんといっても「イラク戦争」でしょう。この戦争、まず「開戦根拠が全部ウソだった」ことが明らかになっています。

米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

 

[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。
(読売新聞2006年9月9日)

報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた。
(同前)

そして、当時のアナン国連事務総長は、「イラク戦争は国際法違反である」と断言しています。

イラク戦争「国連憲章上違法」 国連事務総長がBBCに

 

15日の英BBC放送(電子版)によると、アナン国連事務総長はBBCとのインタビューで、イラク戦争を「我々の見地からも、国連憲章上からも違法」と断じた上で、「各国が共同歩調をとり、国連を通して行動するのが最善という結論に誰もが達している」と述べた。

 

国連では21日からブッシュ米大統領ら各国の元首、首相、外相らを迎えて総会の一般演説が行われる。アナン氏の発言はこれを前に、イラク戦争を国際法違反とする国連の姿勢と、唯一武力行使を容認できる機関としての安全保障理事会の重要性を再確認したといえる。
(asahi.com 2004年9月16日)

この戦争で、どのくらいの民間人がなくなったのか、はっきりわかっていません。8万人から120万人まで、いろいろな数字が出ています。いずれにしても、ウソの理由で始めたイラク戦争で、「民間人が大量に亡くなった」ことは、動かせない事実です。このことは、「アメリカさんは、『正義の味方』だから、ついていけば間違いない!」という「アメリカ盲従主義」ではいけないことを示しています。

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