現役医師に聞く。食品の「焦げ」部分はやっぱり身体に悪かった

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食べ物の「焦げ」には発がん物質が含まれていると以前から言われていますが、最近ではバケツ一杯分ほど毎日焦げを食べなければ問題ない、とされていました。しかし、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生は、焦げから発生するアクリルアミドの摂りすぎは「すべての年齢層におけるがんのリスク」になることがわかっているので、なるべく避けたほうが良いと警告。さらに、焦げと同様に気をつけたほうがよい食べ物についても紹介しています。

アクリルアミドとは

高温でのパンの焼きすぎ、ポテトの揚げすぎ、などの焼きすぎで黒焦げを作ることがありますね。これらは発がん物質であるアクリルアミドを発生させる原因となります。メイラード反応と呼ばれている化学反応で起こります。具体的にはブドウ糖とアスパラギン(アミノ酸の一種)の反応で生成します。

デンプンを主体とする食物を高温で強く焼いたりあげたりすると発生するのがアクリルアミドです。真っ黒に焦げたトーストや黒焦げの焼きおにぎりなどもそうですね。メイラード反応でできた物質は香ばしい香りを発生させるので料理人はうまくそれを利用して料理を作っていることもあります

アクリルアミドがこのように生成されて我々の体内に取り入れている可能性については2000年初頭にスウェーデンから報告されていました。お菓子として人気のあるポテトチップスの中にもアクリルアミドが含まれていることで世界的に問題となりました。

アクリルアミドは発がん物質

2015年にはヨーロッパの食品安全機関が、アクリルアミドの摂りすぎは、すべての年齢層の人々における、ほとんどすべての種類のがんのリスクになると言う発表をしました。この食品安全機関が最近、「金色でいきましょう」(Go for Gold)というキャンペーンをスタートしました。

金色というのは焼きすぎない料理での色という意味です。黒色ではありません。ジャガイモやパン、あるいは玉ねぎなどの根っこの野菜類等も含めて、デンプンを多く含む食品を焼いたりあげたり炙ったりするときには金色かそれより薄い位の黄色くらいまでが安全ということです。茹でたり蒸したりする場合にはアクリルアミドは発生しません。

アクリルアミドによる初発がん作用は動物実験で証明されています。疫学研究などで人間ではまだ証明されていませんが、生物学的な機序から見て人間でも同様であるといえるでしょう。毎日大量のポテトチップスを人々に食べさせるようなランダム化比較試験は不可能だと思います。

でも大量のポテトチップスを毎日食べているような人たちはたくさんいますので、その方々は要注意です。カウチポテト族の人々は運動不足とカロリーの取りすぎが問題視されています。しかし、ポテトチップスを多く摂ることによってアクリルアミドも多く摂るので発がんのリスクも高めているのです。

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