中国主導のAIIB、参加国が70か国に激増。日米さらに孤立

 

米中覇権争奪戦、現状

2016年の大統領選挙で、アメリカ・ファースト、ナショナリスト、保護貿易主義者のトランプが勝ちました。彼の大戦略は、ミアシャイマーさん、ルトワックさんと同じ、ロシアと和解して、中国に勝つ。

ところが、中国は、国力を総動員して、以下の工作を行った。

  • トランプを懐柔し、反中の姿勢を改めさせる。
  • 中国に近い米民主党議員を中心に、「プーチン悪魔化工作」を推進、米ロを分断する(米ロ関係が悪化すれば、米中、中ロ関係は、相対的に良くなる)。
  • 反トランプである国際金融資本を味方につける。

結果、トランプは身動きとれない状態になっている。具体的には、

  • ロシアと和解できない。
  • 中国と対決できない。

日本に必要な、「戦略的忍耐」

オバマさんの北朝鮮外交は、「戦略的忍耐」と言うそうです。要するに、「放置しておこう」と。まったく迷惑なことです。彼の8年間で、北朝鮮は、核兵器、ミサイル分野で、著しく進歩してしまった。

それはともかく、日本に今必要なのは、「戦略的忍耐」です。というのも、米中ロ、三大国の関係が目まぐるしく移りかわっているから。ここで安倍総理が、「対中包囲網形成を主導する!」などと気合を入れれば、中国に取り込まれたトランプさんが梯子を外す可能性がある。すると、アメリカ抜きの日中戦争になり日本は尖閣を失います

ここは、今まで通りの方向性を保ちつつも、より穏やかであるべきです。「今まで通りの方向性」とは?

  1. 日米関係を、ますます強固にしていく。
  2. ロシアと和解して、結果的に中ロを分断する。
  3. 中国を挑発しない。

そして、アメリカロシア中国の動向を注意深く見続けておく必要があります。現在の世界情勢は、1930年代並に移り変わりが激しいので、要注意です。

image by: humphery / Shutterstock.com

 

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print
いま読まれてます

  • 中国主導のAIIB、参加国が70か国に激増。日米さらに孤立
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け