米中覇権争奪戦、現状
2016年の大統領選挙で、アメリカ・ファースト、ナショナリスト、保護貿易主義者のトランプが勝ちました。彼の大戦略は、ミアシャイマーさん、ルトワックさんと同じ、ロシアと和解して、中国に勝つ。
ところが、中国は、国力を総動員して、以下の工作を行った。
- トランプを懐柔し、反中の姿勢を改めさせる。
- 中国に近い米民主党議員を中心に、「プーチン悪魔化工作」を推進、米ロを分断する(米ロ関係が悪化すれば、米中、中ロ関係は、相対的に良くなる)。
- 反トランプである国際金融資本を味方につける。
結果、トランプは、身動きとれない状態になっている。具体的には、
- ロシアと和解できない。
- 中国と対決できない。
日本に必要な、「戦略的忍耐」
オバマさんの北朝鮮外交は、「戦略的忍耐」と言うそうです。要するに、「放置しておこう」と。まったく迷惑なことです。彼の8年間で、北朝鮮は、核兵器、ミサイル分野で、著しく進歩してしまった。
それはともかく、日本に今必要なのは、「戦略的忍耐」です。というのも、米中ロ、三大国の関係が目まぐるしく移りかわっているから。ここで安倍総理が、「対中包囲網形成を主導する!」などと気合を入れれば、中国に取り込まれたトランプさんが梯子を外す可能性がある。すると、アメリカ抜きの日中戦争になり、日本は尖閣を失います。
ここは、今まで通りの方向性を保ちつつも、より穏やかであるべきです。「今まで通りの方向性」とは?
- 日米関係を、ますます強固にしていく。
- ロシアと和解して、結果的に中ロを分断する。
- 中国を挑発しない。
そして、アメリカ、ロシア、中国の動向を注意深く見続けておく必要があります。現在の世界情勢は、1930年代並に移り変わりが激しいので、要注意です。
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