なぜ中国が「森友学園問題」を政治利用しようとするのか?

 

中国は、このチャンスに安倍失脚のシナリオを描きたいようです。籠池氏は、もともと民間政治団体「日本会議のメンバーでしたが、すでに退会しており、日本会議の田久保忠衛会長も巻き込まれるのは迷惑だとの発言をしています。

【森友学園問題】日本会議・田久保忠衛会長が激白 「籠池問題は迷惑だ」

ただし、先日、政府が公開した昭恵夫人と籠池夫人のメールでは、籠池夫人が「民進党の辻元清美議員が幼稚園に侵入しかけた」「嘘の証言をした男は辻本議員と仲良しの関西生コンの人間」などという内容のメールを送っていたことが明らかになりました。民進党はこれは虚偽だとしています。

民進党がメールの内容を虚偽だとするならば、籠池氏らの発言も極めて疑わしいということになります。民進党も、自分たちに関することはウソで、総理や昭恵夫人に関する発言は正しいといったダブルスタンダードは取りにくいでしょう。見事にブーメランが返ってきたということだと思います。これ以上、野党が籠池問題を国会で取り上げる必要があるのでしょうか。

一方で、韓国ではこの問題はあまり騒がれていないようです。それはそうでしょう。自分たちの前大統領はそれどころの騒ぎではなく、まもなく逮捕される可能性があるのですから、他国の総理のことをあれこれ言える立場ではありません

ただ、この問題ばかりが国会で取り上げられるので、国民もそろそろうんざりしてきています。中国がこの問題を積極的に取り上げるというのは、やはり中国の国民に「安倍晋三はとんでもない首相だ」というイメージを植え付け、習近平の正当性を訴えるためです。

日本は今のところトランプ米大統領と良好な関係であるようですが、中国との対話は久しくありません。安倍政権はこれまで中国ともうまく渡り合ってきました。中国がいかに自分勝手な国でも日本にとっては隣人であり、世界の大国である以上、避けることはできません。

韓国では政治が乱れ、北朝鮮は核ミサイル実験で世界を脅し、台湾は独立派政権が誕生し、フィリピンでは二枚舌の大統領が大人気となっており、アジア情勢は本当に混沌としています。

加えてトランプ大統領の保護主義政策による混乱も起きています。4月初旬には米中首脳会談が開催される予定です。世界情勢は大きく動き出そうとしています

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け