中国の対日戦略の本質
もう一度、「反日統一共同戦線」について考えてみましょう。
まず、中国は、ロシア、韓国に、「反日統一共同戦線をつくろぜ!」と提案した。どういう理由で?
中国、ロシア、韓国の共通点は、「日本と領土問題を抱えていること」。だから、「協力して、日本の領土要求を断念させよう」、「3国は同じ問題があるから、共同で日本と戦おう!」と。
次に「アメリカを引き入れる」としています。しかし、日本とアメリカの間に、「領土問題」はない。どうやってアメリカを「反日統一共同戦線」に引き入れるのか?
中国、ロシア、アメリカの共通点は、「第2次大戦で、日本と戦ったこと」です。ロシアは当時ソ連で、中国は共産党ではなく国民党が日本と戦った。厳密に言うとそうですが、中国は気にしません。
「中国、ロシア、アメリカは、かつて一緒に軍国主義国日本と戦った。韓国は、軍国主義日本に支配されていた哀れな国」。こういう、共通項でアメリカにアプローチする。
そして、次にこうきます。「日本で、右傾化、軍国主義化が始まっています。彼らは、第2次大戦の結果を認めず、『歴史の見直し』を狙っています。これを、中国、ロシア、アメリカ、韓国で、一緒に粉砕しましょう!」とこう来るわけです。
これが2012年11月。中国は、この方向で大金を投じて反日プロパガンダを行った。その結果、2013年12月、安倍総理の靖国参拝は、大バッシングされることになりました。
中国がやっているのはなんでしょう? 「情報戦」をやっているのです。目的は、「日本を孤立させること」です。中国(当時国民党)は1930年代、日本の「世界支配計画書」「田中メモリアル」(偽書)を大拡散した。それで、世界中の人たちが、「日本は世界征服を狙っている」と信じた。(ロシア人に、「田中メモリアル、偽書だって知ってた?」と聞くと、「え ?偽書なの? 本物だと大学で習ったけど」と答えました。80年経っても、まだ中国のプロパガンダ効果は続いている!)。
つまり中国は、まず「情報戦」で勝利し、日本を「孤立させる」ことに成功していた。それで、日中戦争が1937年始まったとき、日本は、中国、アメリカ、イギリス、ソ連を敵にまわしていた。こんなもん勝てるはずがありません。
というわけで、中国は、「日本孤立化」を目的とする「情報戦」を継続しています。日本は、「反日統一共同戦線」と逆の道をいく。つまり、
- アメリカとの同盟関係をますます強固にする。
- ロシアと和解し、関係をどんどん改善させていく。
韓国については、アメリカを間に入れて付き合っていけばいいでしょう。
私たちは、歴史の教訓「孤立したから負けた」を胸に刻み、「孤立する言動」は、慎重に避けていく必要があるのです。
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