私はこういうノートを見ると本当に子どもに対して申し訳ない気持ちになります。お母さんやお父さんに「宿題終わったの?」と聞かれて「終わっていない」とは言えず、やりたくはないけど写してしまったのでしょう。うしろめたさをどこかに抱えながらやっているに違いありません。プロの講師として私たちは適正な量と質の宿題を出さなくてはいけません。ごまかさないとできないような学習をさせてはいけないのです。
このままでは授業もどんどんわからなくなり、負のサイクルが加速していきます。勉強の楽しさを経験できないまま、時間とお金を浪費することになってしまいます。
では、こうした状況になっていることがわかった場合、親はどのような対応をとればいいのでしょうか。
ここで大事なことは子どもを絶対に責めない、叱らないことです。そして、終わらなくてもわからなくてもいいから、答えを写すことは絶対にしないように約束させることです。
次に塾の先生に、宿題が終わらない、できない原因に心当たりはないかを聞いてみましょう。たまに塾での友達とのいざこざで精神的に不安定になっていることが原因で勉強に手がつかなくなっている子もいます。
また宿題のやり方を工夫することによって改善できる場合もあります。
私の場合は保護者からの相談あるなしにかかわらず、宿題のやり方に不安がある子には生徒面談をして宿題のやり方を一から教えます。たとえば宿題をやる前に授業ノートを読み返してからとりかかるなど、単純なことから教えていきます。
どの段階でわかっていないかによってもやり方も変わりますが、まずは「自分で答えを出すところまで、あるいは惜しいところまではできるんだ」という自信を持たせることが大切です。意外に多いのが「どうせできないから」と最初からあきらめている子どもです。しかし、そういう子どもでも、考え方のヒントをちょっと与えるだけで、あとはスイスイとできてしまうことも少なくありません。そうした手がかりになるようなことは塾の授業で習っているはずなので、もう一度授業の内容を復習してから取りかかるほうが、定着もしやすいのです。