危機は回避されたのか? 北朝鮮に甘い中国を動かす3つの方法

 

中国を動かす方法2 半島非核化で習近平は世界史の英雄に?

「韓国への核兵器配備」は、中国にとって「ムチ」ですね。「アメ」も必要です。習近平がもっとも欲しいものはなんでしょうか? そう、「中国の夢を実現することです。

「中国の夢」とは、「アヘン戦争があった1840年以前の世界的地位を取り戻すこと」。それで習近平は、「G2でいこう」「新型大国関係でいこう」とずっと提案し続けている。「G2」「新型大国関係」とはつまり、「アメリカと中国で世界を支配していこう」ということ。

だから、トランプは習近平に言えばいい。「いま、朝鮮半島は、世界最大の問題だ。これを、中国主導で解決する。そうすれば、中国の世界的名声地位は一気に高まる。南シナ海や東シナ海を侵略して版図をひろげなくても、この問題を解決するだけで、世界中の国が、『嗚呼、中国は、世界に平和をもたらす、真の大国だ!』と認めるぞ」と。

「毛沢東は、朝鮮戦争でアメリカと戦った。あなたは、『戦わずして』問題を解決する。孫子は、毛沢東よりあなたを褒めるだろう。そして、あなたは中国で『毛沢東をこえる存在』になるだろう。世界的名声も大いに高まり、『ノーベル平和賞も受賞できるだろう。なんなら、俺(トランプ)が、『習近平にノーベル平和賞を!』運動を推進してもいい」。

「アメリカが韓国に、北京を狙える核兵器を配備する」状態。「北問題を平和的に解決し、世界史の英雄になる」状態。習近平は比較して、「毛沢東を超えた方がいいよな」と思うのではないでしょうか?

中国を動かす方法3 金正恩体制の後は、「中国」の傀儡政権を

とはいえ、もう一つの懸念を取り去る必要があります。それは、「アメリカの同盟国・韓国中心に、朝鮮半島が統一されること」。これは、中国の脅威ですね。

ですから、トランプさんは、「北朝鮮の核兵器とミサイルを廃棄できれば、次の政権は中国主導でいい」と宣言する。

これ、中国は容易に信じないでしょう。ですから、米中は、きっちりプロセスを話し合い、書類化しておく必要があります。これで、中国は、「北がなくなれば、アメリカの同盟国・韓国が半島を統一する」という心配をしなくてすむようになる。

国連安保理を巻き込む

次に、「国連安保理」を巻き込みます。この機関、普段は、拒否権をもつ常任理事国「アメリカ、イギリス、フランス と 中国、ロシア」が争っていて、何も決まらない。しかし、今回は、米中が主導するので、まとまる可能性が高まります。

米中は、何を提案するのか? まず、一応「核兵器廃棄」に同意し、実際にそうすれば、「体制は保証するというオファーを金正恩にしたらいいでしょう。この場合、これまでフセインやカダフィを殺したアメリカが、金正恩に同じことを繰り返さないよう、きちんと約束させる必要があります。

そもそも、金正恩がかたくななのは、アメリカがこれまで、フセイン、カダフィを殺し、いままたアサドを殺そうとしているからです。北はアメリカを信じられない。金正恩が、この提案を受け入れることは、期待できません。

それでも、「はじめに平和的な提案をすること」は大事です。そして、「北朝鮮が次に核兵器実験をしたら武力行使する」。これで金正恩は、「米中を同時に敵にすれば、勝ち目はゼロだ!」と悟り、核実験を封印するかもしれない。

あるいは、強行するかもしれない。強行したら、まず中国人民解放軍が大挙してピョンヤンに押し寄せ、金正恩を捕まえます。100%確信はありませんが、「中国軍が攻めてきたから、韓国を火の海にしよう!」ということにはならないと思います。

これだけだと、中国が約束を破るかもしれないので、アメリカを中心とする国連軍も入ります。そして、「非核化プロセス」「ミサイル廃棄プロセス」が始まります。北朝鮮から核兵器とミサイルが撤去された時点で、中国主導の新政権づくり」が始まります。

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