集団的自衛権、安倍政権はなぜそこまで急ぐのか?

 

「集団的自衛権」の既成事実化と「国防軍」

そして、憲法改正をスムーズに進めるための方策として見られているのが「集団的自衛権」の早期の成立である。

もし2016年7月の参議院選挙までに「集団的自衛権」を恒久法として成立できていれば、自衛隊の海外派兵はいつでも可能となる。これは、もっぱら「専主防衛」を基本とする「自衛隊」を、先制攻撃もできる他の国と同じような「国防軍」に実質的にしてしまうことを意味する。つまり「集団的自衛権」の成立は、「国防軍」の既成事実化だと見てよい。

もちろん「集団的自衛権」には、国民の予想以上の反対があり、自民党の支持率は大きく下がっている。このままの情勢では、たとえ安倍政権が来年まで続いたとしても、来年の参議院選挙で過半数の議席を獲得できる可能性はかなり低い。ということは、「日本会議」のアジェンダにある憲法改正は困難だということになる。

他方、自民党の掲げる憲法改正の重要なポイントのひとつになっているのは、「自衛隊」の「国防軍化」である。もし自民党が来年の参議院選挙で負けたとしても、いまの時点で「集団的自衛権」を成立させておけば、これは実質的に達成したことになる。

米軍産複合体の支持と従属国家化の進展

おそらくこれが、安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急いでいる理由であろう。

また、もともと「集団的自衛権」は米軍産複合体の日本に対する要求項目の1つである。ということは、これが成立すると、「日本会議」と安倍政権が目指す憲法改正に米軍産複合体の間接的な支持が得られる可能性が高くなる。

来年の参議院選挙までには憲法改正に乗り出す準備ができていなければならない。いま安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急ぐのには、米軍産複合体の横槍が入らないように彼らの支持を固めておくという理由もあることだろう。

いずれにせよ、米軍産複合体の要求と支持におもねることでアメリカの従属国家化の方向は強化される。

このように見ると、「日本会議」と安倍政権が目指す「日本の独立」とは、もはや実質的に独立国とさえ言えない状況にまで対米従属を徹底的に強化しながら、米軍産複合体の保護のもと、「天皇主権」による偉大な日本という幻想に酔いしれる自由を享受したいということではないのだろうか? 少なくとも筆者にはそのように見えてしかたがない。

image by: 首相官邸

 

『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』より一部抜粋

著者/ヤス
早稲田大学卒。企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等を担当。世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立てる。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をメルマガで配信。
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