なぜNY在住の日本人社長は真っ白なDVDを見て身を乗り出したのか

 

ハリウッド映画が好きな僕は日本映画には結構、疎く、知らない作品も多い。

一昨年、女優の安藤サクラさんにインタビューした時のこと。 彼女はニューヨークで、特別上映される「百円の恋」の舞台挨拶で訪米されました。

インタビュー前日、関係者から観ておいて、とその出演作品「百円の恋」のDVDを渡されました。

関係者用の、非売品の、焼いただけのDVD。 真っ白な状態で、マジックでアメリカ人が「100 Yen Love」とだけ、本体に殴り書きしたDVD。 もちろん、パッケージもありません。 つまり、何の予備知識もない。 そんな状態で、自宅のプレーヤーに入れました。

ちょっとだけ日本映画に偏見のある僕は、大した期待もせず、あくまで仕事用の(明日のインタビュー用の)資料として、ソファに寝転がって観始めました。 例の日本映画独特のセンスがセンスすぎる「アートな間」ばかりの、浅いくせに深いセリフだらけの芸術作品風作品なんだろな、と思いつつ。 ある程度ストーリーがわかった時点で、停止して寝てやろう、くらいの気持ちでした。

観ているうちに、寝転がっていた上体は少しずつ、起き上がり、最後は身を乗り出して、食い入るように観ていました。 オモシロスギル!!

ここ数年観た日本映画ではベスト級の面白さでした。

でも、それも、やっぱり、今考えると、まっさらな状態で、観ることが出来たからかもしれません。 今考えると、この作品で主演の安藤さんが、日本アカデミー賞の主演女優賞を受賞したことすら知りませんでした(笑・それはさすがにインタビュアー失格だw もちろん取材直前にはWIKIとかでさすがに調べはすると思うけど)。

もし、TSUTAYAで出会った作品なら、少なくともDVDのパッケージ裏は見ていた。 そこにはボクシングをしている彼女の写真は掲載されていたはず。 それすら(ジャンルすら)知らない僕はまさかの展開に、驚き、結果、生涯の1本のひとつになった。 前述の近所のお兄ちゃんにとっての「トッツィー」のように。

予告編で観ていたら、少なくとも、最後に彼女がリングに上がるということくらいまではわかるはず。 観てなくて良かった。

、、ということは、映画好きじゃなくて、映画のこと何も詳しくなくて、強引に友達に劇場に連れて行かれる人の方が案外、幸せなのかもしれません、少なくとも、当人よりは、まっさらな状態で楽しめる。 それがなにより羨ましい、、、)

でも、まっさらな状態で観る、ということにトライしようとすると、冒頭の問題にぶち当たります。

「もし、つまんなかったら、どうするんだ!?」あるいは、「そんなバクチできるか! こっちは忙しいんだから」という問題。

確かに、その通りです。 だからこそ、本当の自分の好きな1本に出合えるまで無駄な作品をいっぱい観なきゃいけない、ということだと思うんです。

(いや、オレ、特別映画好きじゃないし、そんな時間ないし、、、と言われたら?、、、、、、、、もう何も言い返せない・笑 確かに!と言うしかない・笑)

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