そう、映画に限らず。 飲食店だって、手持ちのiPhoneでコチョコチョすれば、他の人の(しかも信用できるユーザーの)評価がご丁寧に星の数で表してくれてることまでわかる。 こんな世の中、もう、劇的にマズい飲食店と出会えない!!
(ま、出会わない方がいいんだけど。 確かに映画好きの僕はこのTSUTAYAのサービスに大賛成だけど、特にグルメでもない僕は、食べログとかありがたいもんな。 そーゆーことか!)
とにかく、説明過多で、予告編だらけの世の中は、事故的な出会いが極端に少なくなった気がします。
映画の話に戻すと、予告編で見せ過ぎじゃないか、と思うこともしばしば。 もちろん興行的に成功する為には、極力、魅力的なトレイラーを見せることが必要であり、でも、それってさ、もうほとんどストーリー語っちゃってるじゃん!って予告編が多くなるってことですよね?
そのぶん、実際の劇場での感動度、興奮度、が下がっちゃって、映画そのもののファンを減らしてるんじゃあないかと危惧してしまいます。
大昔、僕が学生の頃、近所のお兄ちゃんが映画「トッツィー(Tootsie)」を観たときの衝撃を語ってくれたことがあります。 ダスティン・ホフマン扮する主人公が、ほぼ全編、女装で登場し、最後の最後で、カツラをとり、男性だとバラします。
もし。 なんの予備知識もなく、この映画を観たら、映画の中の登場人物と同じくらいの衝撃を観客は受けられたのだと思います。
今の時代、その衝撃を受けるのは、もはや不可能。 だって、主演がダスティンホフマンってだけで、そのおばちゃんはホフマンとわかるだろうし。
小学校の頃から、映画好きだった僕は、ある時期2年間だけ映画から離れた時期がありました。 高校時代です。 その期間だけ、月刊「ロードショー」も買わなかった。
で、高松に遊びに行った際、何気に映画館の前を通り、貼られたポスターに目を奪われました。 背中に入れ墨した男の背中が怪しく光っています。
当時、話題になっていたロバート・デ・ニーロが主演する、その「ケープ・フィアー(Cape Fear)」という作品が、アクションなのか、ホラーなのか、サスペンスなのか、ジャンルすらわからず、チケットを買い、劇場に入りました。
何の予備知識もなく観たそのサスペンス映画は、今考えると特別クオリティも高いわけでなく(なにより60年代、グレゴリー・ペックが主演した名作「恐怖の岬」のリメイクであることも当時は知らず)それでも、ものすごく楽しめました。
ドキドキしっぱなしでした。 主役がデ・ニーロであることも知らずに入ったくらいなので、あまりにまっさらな状態だったので楽しめたのだと思います。
同じ時期に、テレビで映画評論家のおすぎさんだかが、映画のいちばん楽しい見方は、なんの予備知識も持たず、主演も監督も知らないまま、なんならジャンルも知らないまま観に行くことだ、と言っていたのを思い出します。 先の高松の映画館は、まさしくその通り!と感じた出来事でした。
こんな経験も、情報過多な今の時代には、絶対無理だと思います。