田園調布に忍び寄るゴーストタウン危機。セレブ住宅街の辛い現実

 

まず、これらの地域は、「第一種低層住居専用地域」で、低層の住宅地として用途が限られています。住宅の用途以外のものに対しては、非常に条件が厳しくなっています。事務所も店舗も建てられません。

高さ制限があるので、事実上3階以上の建物も建てられません。ですから、住宅であってもマンションの建築も難しいのです。

さらに、地域の環境を守るために、土地を小規模に分割して販売することを禁止していたり、生垣や庭に確保の規制があるところもあります。だからこそ高級住宅地であり、その環境を維持するための規制なのですが、時代は変化していきます。

住民が亡くなった後、売りに出されても、広い敷地の住宅は、販売価格も高額で、それを購入できる人も限られていてなかなか売れません。しかも、不動産価値が高かった故、不動産に抵当権等がたくさんついていたり、相続人が多数いたりして、価格を下げての処分が簡単にはできない物件も多いと言います。

では、価格を下げれば購入者がいるかというと、それも簡単ではないのです。本当の高級住宅地は、住んでいる人は車で移動するのが基本で、日常の買い物はお手伝いさんが…。そんなところですから、決して、交通の便がいいところにありません。車の送り迎えが当たり前じゃなく、電車で移動するには、交通の便が悪く、決して住みやすいところじゃないのです。そしてコンビニすら近くにはないのです。で、協定等を守るための生垣等の維持に掛かる費用も多額になります。

さらに、空家が増え、手入れの行き届かない区画が増えると、高級住宅地としてのブランドにも影が差し、治安の不安もあり、市場での流通が難しいのです。

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