問題の本質は?
トランプは、「ナショナリスト」と呼ばれています。しかし、ヒトラーのように特定の民族を絶滅させたいわけではありません。ただ、「アメリカの経済利益を第1に考える」と言っている。そう考えると、トランプは、「ソフト・ナショナリスト」といえるでしょう。
それでも、「アメリカ・ファースト」「アメリカ第一主義」はさまざまな問題を引き起こします。皆さん、「わが社の利益が第1です!」と宣言している社長さんのことを想像してみてください。そんな会社から、「買いたい!」と思うでしょうか? 普通は、「お客さまの幸せが第1です!」というものです。
実際、トランプと同じようなスローガンを掲げたリーダーはほかにもいます。たとえば、安倍総理、はじめは「日本を取り戻す!」と宣言していました。それで、2013年末から2014年初めは、ずいぶんバッシングされました。
今、総理は、「日本を取り戻す!」とは言いません。「自由貿易のチャンピオンでありたい!」とか、「法の支配をひろげる」とか、「アメリカは、人類の希望だ!」などといいます。それで、バッシングされなくなりました。
自他共に「愛国主義者」と認めるプーチン。2014年3月にクリミア併合を断行しました。クリミアは、1783年から1954年まで、文句なしでロシアのものだった。それで、全ロシア国民がプーチンの決断を支持しました。とはいえ、ロシアは、制裁を課せられ、経済はボロボロになっています。
習近平は、「中国の夢」というナショナリスト的スローガンを掲げて登場しました。それで、2015年からずいぶん叩かれ、2016年、中国経済はボロボロになってしまった。しかし習は2017年1月、ダボスで「グローバリズム絶対支持宣言」を行います。それで、「中国経済バッシング」はおさまりました。
トランプは、「アメリカ・ファースト」を掲げて登場しました。彼は、「わが社の利益が第1です!」と宣言したので、叩かれる。当たり前のことです。
すべての会社が利益を追求するように、すべての国が「国益」を追求しています。しかし、すべての会社が、「お客様の幸せが第1です!」と言うように、国は、「国際社会で貢献したい!」と言うべきなのです。「お客様の幸せを第1」に考え、実際努力している会社が潰れるでしょうか? 逆に、「わが社の利益が第1だ」と宣言している会社の何百倍も儲かることでしょう。
image by: 首相官邸