金芽米と無洗米。誰もが一度は口にしたことがあるお米だと思いますが、これらの生みの親が米農家ではなく、「東洋ライス」という精米機メーカーであることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。御年83歳、「お米のエジソン」との異名をもつ雜賀慶二社長の「知恵」の源とは?
おいしくて健康にいい!お米の常識を覆す金芽米
東京・銀座になかなか予約が取れない大人気の店がある。「近畿大学水産研究所」。不思議な名前の食事処は、お昼前に訪ねたのに席はもういっぱいだ。
客のお目当てはマグロだ。この店で使っているのは近畿大学水産研究所が世界で初めて完全養殖したクロマグロ。一番人気は「近大マグロづくし丼」(2500円)。もうひとつのこの店の評判は「ご飯がおいしい」こと。「いろいろな業者のお米を使う中で、金芽米が甘みがあって一番おいしかったので、使わせていただいてます」と言う。
金芽米の魅力はおいしさだけではない。金芽米に惚れ込んだのが「タニタ食堂」。ヘルシーメニューで人気の店だ。日替わり定食は一汁三菜。バランス良く栄養が取れるメニューに金芽米が一役買っている。普通の米と栄養価が違うのだ。
「栄養価は玄米並みにあって、白米以上においしいので、うちのコンセプトとマッチしていました。通常のお米と比べて、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富になっています」(丸の内「タニタ食堂」の加藤めぐ美さん)
さらにこの金芽米は普通のお米よりカロリーは10%ほど低めだ。「家でも食べたい」と言う声に応え、「タニタ食堂の金芽米」として販売も。ネット通販で人気商品となっている。
米離れが進む中で、金芽米の生産量はグングン伸びている。この金芽米を作っているのは1社だけ。それが東洋ライスだ。
和歌山県和歌山市に東洋ライスの本社はある。1961年、精米機器のメーカーとしてスタートし、その後、米の加工事業にも進出。米をおいしいご飯に変える会社だ。従業員は170人、売上げは82億円に上る。