僕は昔、河川敷の土手を一部分、大勢の撮影隊で勝手に封鎖してしまったことがあります。封鎖といっても、バリケードを立てたりしたわけではありません。ただ、20人くらいで広がれば、もう、通せんぼに近い状態。サイクリングの人たち、タイムを計ってトレーニングをしていた人たちの邪魔をしてしまったのです。もう15年くらい前のこと。どうかお許しください…。
他にも、小学生の下校時間に、道路を占拠して、黄色い帽子の子供たちが道にあふれてしまったことも。
基本的に、道路で撮影するときは、通行人が通れる道を確保するのは必須でしょう。「そんなの当たり前だ」と思いましたね…(ニヤリ)。そんな当たり前のことが、結構難しいのです。
これを気を付けるのは監督ではありません。他のスタッフなんです。
撮影中は、ビデオカメラを中心にして、円錐形にスタッフが広がる傾向にあります。スタッフが多ければ多いほど、末端スタッフはどんどん散らばっていきます。つい、道路を封鎖してしまうのです。しかも、末端スタッフは、今撮影がどんな状態なのか把握できないことが多い。
それはつまり、自転車でやってきたひとに、「今はいいですよ、どうぞ!」と即答することができないということ。
監督は、末端スタッフに至るまで、気を配ることはなかなかできません。だからこういった部分は、助監督の仕事になります。助監督は、撮影そのものだけでなく、通行人の邪魔をしないように気を配る。そして迷惑をかけていることをゴメンナサイという表情と態度を示す。
これを、撮影前にしっかりと意識合わせしておく。
ロケハンの時に、生活動線を確認する。これは、どの程度の通行量があるのか、どんな人たちが行き来しているのか、どの程度なら占拠しても問題ないか、そういったことを事前にチェックしておく、ということなんです。
最後になりましたが、あくまで「撮影中のマナー」について書きました。決して、マナーを守ればゲリラ撮影していい、ということではありませんよ!!